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» 2015年11月20日 08時30分 UPDATE

低消費電力技術でIoTを支える:低電力ワイヤレスマイコン、サブGHz帯を追加

日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は、「組込み総合技術展Embedded Technology 2015(ET2015)」で、IoT(モノのインターネット)をテーマに、サブ1GHz帯を使ったワイヤレスマイコンや、高いノイズ耐性を実現した静電容量式タッチマイコン、各種センサー製品などを展示した。

[馬本隆綱,EE Times Japan]

 日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は、2015年11月18〜20日のパシフィコ横浜で開催されている「組込み総合技術展Embedded Technology 2015(ET2015)」で、IoT(モノのインターネット)をテーマに、サブ1GHz帯を使ったワイヤレスマイコンや、高いノイズ耐性を実現した静電容量式タッチマイコン、各種センサー製品などを展示した。

サブ1GHz帯ワイヤレスマイコン

 日本TIは、電力消費が極めて小さく、複数の無線通信規格に対応可能なマイコンプラットフォーム「SimpleLink」製品を、IoT機器などの用途に提案している。メインCPUコアにARM Cortex-M3を採用し、RF無線ブロックにCortex-M0コアを、センサーコントローラブロックに独自の16ビットマイコンコアをそれぞれ内蔵している。

 これまでに、Bluetooth Smart対応製品「CC2640」、6LowPANとZigBee対応製品「CC2630」、複数の2.4GHz無線技術に対応できる「CC2650」などを発表してきた。そして今回、サブ1GHz帯に対応したワイヤレスマイコン「CC1310」を用意した。SimpleLink製品は、主要な回路を3ブロックに分け、必要な回路ブロックのみ動作させる設計とすることで、高い処理性能を備えつつ、ICチップ全体でも極めて小さい電力消費を実現している。

 CC1310は、スリープモード状態の消費電流が0.6μAである、また、通信動作中のピーク消費電流も受信時で5.5mA、送信時(+10dBm)で12.9mAと小さい。「従来製品に比べると消費電流は受信時で1/4、送信時で1/3に削減した」(説明員)と話す。その理由として、微細プロセスでの製造に加えて、電力効率の高いDC-DCコンバータをチップ内に集積したことを挙げた。EEMBCのULP(ultra low power)Benchスコアは158を達成している。

 CC1310は、サブ1GHz帯(315MHz、433MHz、470MHz、500MHz、868MHz、915MHz及び920MHz)対応により、通信範囲はビル/工場などの建物全体から、市街地などでは最大20kmの距離をカバーすることが可能となる。電池寿命は、コイン型セル電池1個で最大20年の動作が可能だという。同社ブースにはCC1310を搭載した評価キットの他、パートナーであるSMKとテレパワーがそれぞれ開発した通信モジュールを展示した。

tm_151119ti01.jpg CC1310搭載の評価キット(左)、パートナー企業が開発したCC1310通信モジュール。中央がSMK製、右がテレパワー製

高ノイズ耐性の静電容量式タッチマイコン

 低消費電力の16ビットFRAMマイコン「MSP430」の製品群として、CapTIvate技術を搭載した静電容量式タッチマイコン「MSP430FR2633」も新たに用意した。ノイズの多い作業環境での誤検出を防ぐための回路をハードウェアで内蔵し、RFイミニティ試験「IEC 61000-4-6」の適合認証を取得するなど、業界最高レベルのノイズ耐性を実現している。伝導ノイズ耐性は最大10Vrmsで、最大4kVピークのESD(静電気放電)やEFT(電気的高速過渡現象)保護性能を達成している。

 消費電力も抑えた。待機時モードから高速に機能を立ち上げる「ウェイク・オン・タッチ」機能をハードウェアで実装した。これにより、CPUコアがシャットダウン中であっても、最大4個の電極を利用可能な状態にしておくことができる。この時、スキャンに必要な消費電流は操作ボタン1個当たりわずか0.9μAで済む。さらにFRAMを内蔵することで、収集したデータの高速書き込みが可能となり、メモリバックアップ用の電池も不要となる。マイコン自体はコイン型セル電池1個で最大15年間動作させることも可能だという。

 検出精度も高い。厚みのあるプラスチックやガラス、金属などでタッチ検出部を覆ったマルチタッチ製品にも対応する。水滴にも強く、手袋を装着した状態でも使用することが可能である。搭載しているI/O数は16本で、最大64個のボタンに対応することができる。また、4個のセンサーを使い、分解能が1/250cm、長さ30cmのスライダ構成することができる。この他、最大30cmの近接センシングや、4個のセンサーを500μs以内に同時スキャンすることにより、3Dジェスチャの認識を可能としている。

 CapTIvate技術は、自己容量方式または相互容量方式を選択して用いることができる。高い感度が必要な用途では自己容量方式を用い、低クロストークで多くのボタンを密集して配置する用途では、相互容量方式を用いることができるなど、製品設計に高い柔軟性を提供する。

tm_151119ti02.jpg MSP430FR2633マイコンの開発キットを用いたデモの模様

産業用途でもIoT化が進む

 TIは、IoT社会の実現に不可欠となるセンサー製品とそのソリューションを会場で紹介した。同社が手掛けるのは温度センサーIC、誘導型近接センサーIC、ガス/化学センサー向けアナログフロントエンド(AFE)、光量計測用の近赤外線MEMS DLPチップなどである。また、約50種類のセンシング向けリファレンスデザインを「TI Designsライブラリ」に収録しており、システム設計者を支援する。

 展示ブースでは、製品の品質を保つため、生産者から最終消費者に届くまでの温湿度と照度の管理/監視を行うデモを行った。一例としてトラック輸送などを挙げた。コンテナ内に複数個のセンサーモジュール(NFCデータロガー)を設置し、10分ごとにコンテナ内の温度や湿度、照度を測定してデータを保存する。センサーモジュールにはNFC(近距離無線通信)チップが搭載されており、必要に応じてNFC対応のスマートフォンを近づけると、モジュール内に記録されたデータを読み取り、輸送中の環境履歴を確認することができるという。複数のセンサーモジュールを接続するためのネットワークシステムなども紹介した。

tm_151119ti03.jpg 各種センサーを実装したNFCデータロガーモジュールと、測定データを読み取るためのNFC対応スマートフォン

 「IoT社会は民生用途のイメージが強いが、インダストリ4.0に代表されるよう工業/産業分野でもIoT化は進む。生産性や効率の向上にセンシング技術は不可欠」(説明員)と話す。

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