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FreescaleとNXPの合併から学ぶべきこと(後編)滞りなく完了した超巨大案件(1/2 ページ)

2015年12月7日に、NXP SemiconductorsとFreescale Semiconductorの合併が滞りなく完了した。両社は合併を発表した当初から、今回の合併が順調に進むと自信をみせていた。ある業界アナリストは「最も難しい合併は、Avago TechnologiesとBroadcomだろう」と述べている。

» 2015年12月09日 11時30分 公開
[Junko YoshidaEE Times]

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合併が完了

Freescale SemiconductorのCEOであるGregg Lowe氏 Freescale SemiconductorのCEOであるGregg Lowe氏

 2015年12月7日(オランダ時間、米国時間)に、NXP SemiconductorsとFreescale Semiconductorの合併が滞りなく完了した。

 Freescale SemiconductorのCEO(最高経営責任者)を務めるGregg Lowe氏は、同社とNXP Semiconductorsの合併が発表された直後から、「この合併がうまくいく自信がある」と語っていた。発表の7週間後、同氏はEE Timesに「合併の準備を進めるにあたり、各社から、それぞれ経営幹部を1人選んで作業の指揮を執らせている」と述べた。


NXPのWebサイト NXPのWebサイト。「新NXPの誕生」と表示されている(クリックで拡大)

最も難しいのはAvagoとBroadcom

BroadcomのWICED BroadcomのBluetooth対応モジュール「WICED(ウィキッド)」

 米国の市場調査会社であるIC InsightsのシニアアナリストであるRob Lineback氏は、「2015年に発表された大型買収の中では、最も難しいのがAvago TechnologiesとBroadcomの合併だろう」と述べている。その理由は“文化的な違い”にあるという。

 AvagoはHP(Hewlett-Packard)をルーツとするシンガポール籍の企業だが、主な活動拠点は米国シリコンバレーである。Broadcomは同じくシリコンバレー(アーバイン)に拠点を置く1990年代創業の新興企業で、革新的な通信ICを手掛ける。

 Lineback氏は、「Broadcomは創業以来、常に高い業績を残してきた。一方、AvagoはMEMSベースのRFフィルターやアナログIC、光学製品、化合物半導体といった華やかさの少ない分野で地道な成長を遂げてきた企業だ」と説明する。

 同氏はこうした違いを指摘する一方で、「Avagoは、買収した企業を自社の事業に統合することに慣れている」とも述べている。

 同氏は、「AvagoはLSI Corporation(以下、LSI社)を66億米ドルで買収し、2014年5月に手続きを完了した。LSI社のデータセンター/エンタープライズストレージ向けIC製品をAvagoの製品ラインアップに取り込んだあとは、LSI社のフラッシュメモリ関連事業を4億5000万米ドルでSeagate Technologyに、同ネットワーク事業(ブランド名は『Axxia』)を6億5000万米ドルでIntelに、それぞれ売却している」と解説した。

 「この他、Avagoは、光ファイバー通信と高速ネットワーク分野の拡充に向けてCyOpticsを4億米ドルで買収し、2013年6月に手続きを完了した。また、2013年4月には、ワイヤレスアプリケーション向け無線/ミックスドシグナル製品の拡充に向け、Javelin Semiconductorを3700万米ドルで買収している」(Lineback氏)。

 だが、これらの買収とBroadcomの買収には大きな違いがある。Broadcomは桁違いに規模が大きく、Avagoの支払う買収金額も370億米ドル(約4兆6000億円)に上るからだ。これは、半導体史上最高額となる。Lineback氏は、「370億米ドルという金額は、Avagoに、この合併を何としてでも成功させなければならないというプレッシャーを与えているはずだ」と述べている。

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