産総研によれば、書き込みエラー率が10‐3台であっても、書込み後のベリファイを数回実行することによって、実質的に10‐10~10‐15程度の書込みエラー率を実現することができるため、メモリとしての安定動作は可能とみている。
産総研では、ベリファイ作業による書き込み速度の低下と、システム性能への影響についても検証した。実測した書き込みエラー率4×10‐3を、コンピュータによるシミュレーション結果と比較したところ、熱じょう乱耐性(Δ)が26、磁気摩擦定数が0.1でシミュレーションした結果と近似していることが分かった。
この結果から、磁気摩擦係数の低減(0.01以下)と、熱じょう乱耐性の向上(50以上)により、ベリファイを行わなくても、10‐15以下の書込みエラー率を達成することが可能とみている。これらの特性を備えたMTJ素子は、垂直磁化がより安定している記録層材料を用い、素子サイズをさらに小さくしていくことで、十分に実現可能であるという。
産総研では今回の研究成果を基に、磁気摩擦定数が小さく、熱じょう乱耐性が高い垂直磁化MTJ素子を開発していくとともに、電圧書込みの高精度化に取り組む計画である。
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