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» 2015年12月25日 10時00分 UPDATE

世界を「数字」で回してみよう(24) ダイエット:ダイエットを“過渡現象”で説明できるか (1/5)

前編に続き、今度は、ダイエットにおける体重の増減をエンジニア視点で分析してみたいと思います。そして、ひと月に及ぶ壮絶な体重シミュレーションを繰り返した私は、ある結論にたどりついたのです……。

[江端智一,EE Times Japan]
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前編はこちらから

 修士論文の取りまとめに入り、卒業を半年後に控えた、最終年度の秋のことだったと思います。

 私は、自分が考案した推論エンジンを検証する実験装置(ファジィカー)の制作にメドが立って、ようやく、ほっとしていたところでした。

 私は、『実証実験の前に、簡単にシミュレーションで検証をしておくか』という軽い気持ちで、2〜3日ほどでシミュレータを完成させ、そこに推論エンジンを組み込みました。

 そして、そのシミュレーション結果を見た私は、真っ青になりました。

 私のファジィカーは、PCのディスプレイ上で迷走し、壁を乗り越え、ディスプレイの外に消えていなくなり、程なく「Stack overflow」の文字が表示されて、シミュレーションは停止しました。

―― エライことになった

 私は、自分の考案した推論エンジンに絶対の自信を持っていて、推論エンジンを数式化した段階で、安心してしまっていたのです。


 実は、これには理由があります。

 当時、私が参考にした先行研究があって、その研究は華々しい成果を伴って、学会や論文で発表されていました。

 私の考えた推論エンジンは、その先行研究の一部を、別の方法に置き替えるものでしたので、「論理的に失敗する可能性はない」という(甘い)認識に至っていたからです。

―― あの野郎(高名な研究者)、推論エンジンの動作条件の記載をはしょりやがったな

と、逆恨みしながら、『これからどうしようか』と途方にくれていた、冷たい秋風の吹く深夜のことでした。


 さて、前半は、「万年ダイエッターにささげる、“停滞期の正体”」の回で作った「超シンプル体重シミュレータ」を使った、いわゆる「リバウンド」と呼ばれるものの正体を数値で明らかにしてみました。

 今回は、この「超シンプル体重シミュレータ」に、短期(数日から1週間程度)の体重予測を可能とする推論エンジンの搭載を試みて、―― 派手に失敗した結果を、その理由も含めてご報告したいと思います。

 さて、ここで一度、先月の江端家のダイエットのデータを再掲してみたいと思います。

画像1

 どのデータもギザギザになっています。

 しかもよく見れば、江端智一と江端<嫁>のギザギザ度はかなり違うということも分かります。「のこぎり」にするのであれば、江端<嫁>の方が刃が鋭く、深いです。

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