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» 2016年01月13日 09時30分 UPDATE

施工業者のニーズから生まれた:ルネサス、DALI照明制御で無線版とPLC版を開発 (1/2)

ルネサス エレクトロニクスはこのほど、信号線を使用せずに、LED照明をネットワーク制御できる2種類のシステムを開発した。LED照明のネットワーク制御化の大きな障壁となっている初期導入コストを大幅に低減できる技術として、2016年4月以降に本格的なビジネス展開を開始する方針だ。

[竹本達哉,EE Times Japan]

 ルネサス エレクトロニクスがこのほど開発したのは、LED照明制御用通信規格「DALI」を制御信号用ケーブル(信号線)を使わずに、実現する2種類のシステムだ。1つは、920MHz帯無線でDALI通信を実現するシステム、もう1つは、電力線通信(PLC)によるシステムだ。

 いずれも制御側(壁スイッチなど)のマスター端末と、LED照明器具に接続するスレーブ端末の双方をシステム化し、既存の器具に接続することで、LED照明にネットワーク制御機能を付加できる。

160112Renesas001.jpg 開発したLEDネットワーク制御ソリューション(無線通信方式)のデモ。中央のタブレット端末の右のモジュールがマスター。タブレット端末左がスレーブ。写真左の2個のLED照明を無線を経由してタブレット端末から制御できる (クリックで拡大)

開発のきっかけは“施工業者の声”

 半導体メーカーであるルネサスが、半導体や電子部品などを組み合わせたシステムを開発する背景には、“ソリューションプロバイダー”を目指すという同社の大きな事業方針がある。半導体単体の提供ではなく、半導体などのデバイスを組み合わせた“ソリューション”を構築してより的確に市場ニーズに応えようという考え方であり、ソリューションの構成要素は、自社製品に限らず、他社製品も採用してニーズに対応する。同社は近年、こうしたソリューションの開発を加速させており、今回の信号線不要のLEDネットワーク制御システムもその1つだ。

 開発のきっかけは、LED照明市場のニーズを的確に把握しようと接触したビル施工業者の声だった。

 “配線が1本から2本になれば、同じ所に配線する場合でも工数、手間は2倍になる”

 「それまでは、電力線と信号線を同じように配線するのであれば、電力線だけ配線するときとさほど、手間が掛からないと思っていた。施工業者と話さない限り分からない盲点だった」と振り返る。

160112Renesas002.jpg ルネサスが開発前に行ったヒアリングで浮上したネットワーク制御型照明システムでの課題 (クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス

“Non-Wired”でDALIを

 こうした声を得て、開発に着手したLEDネットワーク制御ソリューションの最大のコンセプトは信号線をなくす“Non-Wired”となった。

 “Non-Wired”を実現する1つの方法が、無線化だ。制御信号を無線で伝送すれば、配線は全く不要だ。しかし、「施工業者からは、無線は不安定である上、アンテナの位置決めなどが難しく、結局、施工に手間が掛かる」というマイナスの意見もあった。

 そこで、無線ではない“Non-Wired”を実現する手段として、電力線に制御信号を流すPLC方式を検討。PLCは、スマートメーターやHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)端末で実績のある技術であり、照明用途への転用が十分可能な技術だ。無線の課題も解決する本命の技術とみられた。しかし、「施工業者やビル設計会社などからは“電力線通信は、ノイズに弱く、使いものにならない”との反応があった。皆さん1980年代に登場したFSK(周波数偏移変調)方式のPLCで苦い経験をされたようで、現状、ノイズに強くなったOFDM(直交周波数分割多重)方式のPLCを説明しても、“PLCは使えない”というイメージを払拭できなかった」という。

 そこで、ルネサスでは、無線とPLCの両方で、Non-WiredのLEDネットワーク制御ソリューションを構築することを決め、このほど、レファレンスモジュールレベルのソリューションを仕上げた。

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