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画像センサーメーカーに学ぶ、事業創造のヒント勝ち抜くための組織づくりと製品アーキテクチャ(12)(1/4 ページ)

今回は、「事業創造」について考えてみよう。決してたやすいことではないが、“事業領域の拡大”というのも、立派な「事業創造」の1つである。ここでは、あるイメージセンサーメーカーを例にとり、同社がどのように「事業創造」を実現させたのかを見てみよう。

» 2016年01月25日 09時30分 公開
[世古雅人EE Times Japan]

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市場撤退せずに、“悪あがき”するために

 第11回では、成長ベクトル(事業拡大マトリクス、PMマトリクス)の基本4つの戦略のうち、「市場浸透」「市場開発」の部分を「顧客創造」、そして「製品開発」「多角化」を「事業創造」とお伝えし、「顧客創造」について述べた(図1参照)。

図1 顧客創造と事業創造(=第11回 図12) 図1 顧客創造と事業創造(=第11回 図12) (クリックで拡大)

 今回は続きとして「事業創造」が主題であるが、その前に前回の「顧客創造」について補足をしておきたい。【市場開発】について、以下のように説明した。

 『市場そのものの成長性を見極める必要があることと、特に海外に市場を求めた場合は、失敗した時の撤退などを想定しておかなければならない』

 従来のマーケティング論のフレームワークとして、事業分析(ポートフォリオ分析など)を行うと、中長期にわたって収益が見込めない、すなわち市場の成長性などが低い事業が見つかる場合がある。

 マーケティングの理屈をそのまま適用すると、前述した「撤退する」という選択肢以外に解を見いだすことはできなくなる。あるいは、どこかに事業売却という選択肢の可能性もゼロではないが、そもそも、もうかる見込みが低い事業に対して“買おう”という企業は、まれだ。

 さて、撤退を検討せざるを得なくなったとしても、立ちはだかる壁は現実的に少なくない。仮に、当該製品が会社の中核事業であり、売上規模がそこそこ大きい場合は、ステークホルダ(特に株主・投資家)の声は無視できず、自社の都合だけで撤退を決定するのは困難だ。

 では、撤退せずに、何とか立て直そうと努力するとしても、優秀な人材がいるにもかかわらず、従来の仕事のやり方に慣れ切ってしまっており、意識や行動を将来的に変えていくことは容易ではない。同じ思考や行動様式を今後も取るならば、数年後に同じ状況(市場から撤退する場面に遭遇する)になる可能性も高い。

 このような状況下においても、「市場から撤退することはなく、まだできることはないのか?」と悪あがきすることを、前回の補足として考えてみたい。

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