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» 2016年01月28日 09時30分 UPDATE

江端さんのDIY奮闘記 EtherCATでホームセキュリティシステムを作る(7):実践! ご主人様とメイドがステッピングモーターを動かす (1/7)

さて、今回は、前回に続きEtherCATの“2大技巧”の1つである「SyncManager」を解説したいと思います。その後、ステッピングモーターを動かすためのプログラムを作成してみましょう。

[江端智一,EE Times Japan]
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 FA(ファクトリオートメーション)を支える「EtherCAT」。この超高度なネットワークを、無謀にも個人の“ホームセキュリティシステム”向けに応用するプロジェクトに挑みます……!! ⇒「江端さんのDIY奮闘記 EtherCATでホームセキュリティシステムを作る連載一覧


 前回IoT(モノのインターネット)が社会にパラダイムシフトを与えるためには、IoTに特有の特別な「エロ」を実現するアプリケーションが必要である、という主張を致しました。

 ちょっと調べれば、GPSを使って出会いを演出するスマホアプリとか、ゴロゴロと出てきます。しかし、その手のものは、既に18年も前に専用端末として販売されていたのです(本当)。当時、100万台以上も売れたらしいのです。しかし、それで「運命の人に出会えた」という話は、ついぞ聞いたことがありません*)

*)そんな端末を持って、街の中をうろついている奴がいたら、私は、普通に「怖い」と思う。

 ちょっと考えてみたのですが、「彼女/彼氏といるときに、ムード音楽を流すラジカセ」やら、「寝室の調光を少しずつ落していくライト」とか、「おたがいのエッチな気分を計測する装置」とか、

―― 陳腐だ。その程度のモノで、パラダイムシフトを起こせるものか

と自分でも思います。

 「IoT」と「エロ」の組み合わせは、ちょっと、しきい値が高すぎたかもしれません。

 しかし、「IoT」と「愛」くらいであれば、幾つか考えているものがあります。

 「テンダー体重計(×スマート体重計)」です*)

*)“Love me tender”の「テンダー」です。

 私は、最近、EE Times Japanのサイトで、「ダイエット」について連載させて頂いています(世界を「数字」で回してみよう(ダイエット編))。

 ダイエットを挫折させる大きな原因の1つに、「停滞期」という、「体重が低下していかないように見える期間」の存在があります。

 「停滞期」がダイエットの意志を砕いているのであれば、体重計が、体重計の利用者であるユーザーに「停滞期」であることを知らせなければいいと思いませんか?

 「テンダー体重計」は、ユーザーが、

  1. 1日何回も体重を測ろうとしている
  2. 1回の測定で何度も測り直す
  3. 体重の表示が一番軽くなった瞬間に、体重計から降りようとする

などの行為を認めた場合、そのユーザーが「ダイエット中」であると判断します*)

*)ちょっと高機能の体重計であればマイコンは内蔵されているでしょうから、この程度のプログラムなら簡単に実装できるハズです。

 このような判断をした「テンダー体重計」は、

  • 大きく体重が減った日であっても、あえて、控え目な数値を表示し、
  • 停滞期に入った時にも、前日より少しだけ減らした数値を(間違っても、値数を増やすことがないように)表示する

ようにして、ユーザーにダイエットを諦めさせないように、動作します。

 これこそが「IoT」と「愛」のコラボレーションと言えましょう。

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 この技術の適用分野は広いです。例えば、

  • ヘルスケア分野では、身長計、血圧計、レントゲンなどの測定装置
  • 運動分野では、ストップウォッチ、タイマーなどの計測装置
  • 教育分野では、TOEICやTOEICや、そしてTOEICなどの採点システム*)

が考えられるでしょう。

*)関連記事:TOEICを斬る(前編) 〜悪魔のような試験は、誰が生み出したのか〜

 「健康状態をモニタリングする」「運動能力を計測する」「英語能力を評価する」―― だけでは、足りない。

 「健康になろう」「記録を伸ばそう」「英語の勉強をしよう」という気持ちにさせ、励ましてくれるモノ(Things)が、これからのIoTに求められると考えています。

 「機械のような奴」という言葉が、「人の気持ちを理解する優しい奴」という意味に使われるようになる日 ―― それこそが、IoTが社会にパラダイムシフトを与える日になる、と私は思うのです。

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