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ルネサス、PCだけでMCUの初期評価ができるツールお金も要らない!(1/2 ページ)

ルネサス エレクトロニクスは2016年2月10日、PC上でマイコン(MCU)の開発初期評価が行える仮想開発環境「Webシミュレータ」を公開した。スターターキットや統合開発環境などを必要とせず、仮想環境だけで実環境同様に性能、消費電流などの評価が行える。

» 2016年02月10日 12時00分 公開
[竹本達哉EE Times Japan]

「他にないツール」

 マイコンを使用した機器開発では、最も初期段階で、どのメーカーのどのマイコンを採用するかを決める「初期評価」が必要になる。初期評価では、想定する機能/性能を、任意の消費電力/コスト範囲で実現できるかどうかの確認が主に行われる。まずは、マイコンメーカーが公開しているスペックシートなどを検討し、所望のスペックを備えていると思われる候補製品を数種に絞る。その後、候補製品のスターターキットを手に入れ、サンプルコードや手元にある既存コードをマイコン上で動作させ、性能や消費電流の状態を見て、開発に使用できるか判断することになる。

 この場合、マイコン搭載ボード/サンプルコードなどが同梱されたスターターキットを手に入れるためには、1〜2万円の費用と、2〜3日程度の時間を要する。また、初期評価には、メーカーやマイコンごとに異なる統合開発環境やエミュレーター、さらにはオシロスコープなども必要になる。

 「これまでルネサス製マイコンになじみがないユーザーにとっては、ルネサスのマイコンに興味を持っても、初期評価するには、ハードルが高かった。もっと気軽にルネサスのマイコンを試すことができるようにしたかった」(同社汎用第一事業部汎用ソリューション部長 溝口誠氏)という狙いで構築したのが、仮想開発環境「Webシミュレータ」だ。

従来のマイコン初期評価の流れ(右)と、「Webシミュレータ」を使用した初期評価の流れ (クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス

スターターキットをPC上に再現

 Webシミュレータは、PC/クラウド上に初期評価に必要な要素を全て再現するもの。評価用ボード自体を仮想モデル化し、PC/クラウド上の統合開発環境を使って実機さながらに動作させることができる。マイコン上に走らせるソフトウェアは、ルネサスが提供するサンプルコードだけでなく、ユーザー自らが開発したプログラムにも対応。さらに、評価ボードに実装されているスイッチ入力、LED出力、ポテンショメーター入力などのI/Oも動く。

「Webシミュレータ」の特長(左)とメリット (クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス
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