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5G向けアンテナ、実用レベルに近いA4サイズ実現NECが発表

NECは5Gの実用化に向けて、スモールセル用に低SHF帯64素子AASを開発したと発表した。アンテナとRF部分を一体化したことで、実用レベルに近いA4サイズを実現。また、アンテナのビーム制御をフルデジタル化し、従来のLTEと比較して約10倍以上のスループットが実現可能という。

» 2016年02月23日 12時30分 公開
[庄司智昭EE Times Japan]

 NECは2016年2月23日、第5世代移動通信方式(5G)の実用化に向けて、スモールセル用に低SHF*)帯64素子AAS(Active Antenna System)を開発したと発表した。同AASは、高周波回路(RF:Radio Frequency)とデジタル回路を集積化したICや高密度のプリント配線板を採用したことにより、アンテナとRF部分を一体化している。これにより、実用レベルに近いA4サイズを実現したという。

*)SHF(Super High Frequency):マイクロ波の一種で、波長が1cm〜10cm、周波数が3GHz〜30GHzの電波。低SHFは周波数3GHz〜6GHzの電波を指している。

LTEと比較して約10倍以上のスループットを実現

 同社はまた、MIMO(Multi Input Multi Output)方式でデータを送信するためのプリコーディングだけでなく、アンテナのビーム制御もフルデジタル化した。これにより、ビーム形成の精度向上が可能になるため、ユーザー分布の偏りやユーザーが移動するといった環境下においても、高い周波数利用効率を実現している。アンテナのビーム制御のフルデジタル化と同社の空間多重技術を組み合わせることで、「従来のLTEと比較して、セルあたり約10倍以上のスループットを実現可能」(同社)としている。

左=NECが開発した多素子AASの外観/右=アンテナ素子 出典:NEC

低SHFの商用化は2020年頃

 5Gは、広い帯域幅を確保できる高い周波数帯を活用した高速化/大容量化が見込まれている。しかし、高い周波数帯の活用は、通信の伝搬減衰の大きさが課題となっている。この課題には、特定の方向に向けて集中的に電波を飛ばすことで、通信距離の向上や干渉の低減を実現するビームフォーミングが有効といわれている。

 同社は、ビームフォーミングを実現する多素子AASとその制御技術について、研究開発を進めている。中でも、低SHFは2020年頃の商用化が見込まれており、今後はビームフォーミングのさまざまな環境における実証実験を行っていくとした。

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