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シャープが鴻海を選んだ理由と4800億円の投資先シャープ約4800億円で鴻海傘下に(1/2 ページ)

シャープは2016年2月25日、臨時の取締役会を開いて鴻海から提案を受けていた支援策を受け入れることを決め、鴻海グループを割当先とする第三者割当増資を実施すると発表した。鴻海グループから調達する約4800億円の使途なども公表した。

» 2016年02月25日 15時45分 公開
[竹本達哉EE Times Japan]

 鴻海精密工業(Hon Hai Precision Industry/以下、鴻海)がシャープを買収することになった。

 シャープは2016年2月25日、臨時の取締役会を開いて鴻海から提案を受けていた支援策を受け入れることを決め、鴻海グループを割当先とする第三者割当増資を実施すると発表した。シャープは、産業革新機構からも支援提案を受け、両案の検討を進めてきたが、鴻海傘下に入ることで決着した。

 シャープは、鴻海と鴻海子会社、鴻海CEOである郭台銘氏が支配する企業を割当先とする第三者割当増資を実施し、4890億円を調達する。それに伴い鴻海グループはシャープの株式の66.07%(議決権ベース)を保有するシャープの親会社となる。第三者割当増資の払い込み期間は2016年6月28日から同年9月5日。なお、第三者割当増資の実行性を高めるため、1000億円のデポジット(保証金)を鴻海グループが、シャープに対し納める予定だという。

 さらに鴻海は、2015年6月にシャープが総額2000億円でみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行に割り当てたA種種類株式(計20万株)の半数を1000億円で買い取る他、同じく2015年6月にシャープが総額250億円で割り当てたジャパン・インダストリアル・ソリューションズ第壱号投資事業有限責任組合(JIS)のB種種類株式についても、鴻海とJISで合意する価格で買い取る予定だ。

鴻海を選んだ理由

 鴻海の提案を受け入れた理由についてシャープは、「当社の全てのステークホルダーにとってベストであると判断した」とする。

 具体的には、液晶事業とその他事業それぞれでシナジーが見込みやすいとの理由などとともに、「当社のブランド、既存の従業員及び広範囲にわたる商品ラインアップの価値や、当社事業をとりまくエコシステムを維持することの意義についての十分な理解が示され、とりわけ、本第三者割当増資の実行後における当社の経営につき、力強いコミットメント(=公約)が得られたこと」(シャープ)を挙げた。

 “力強いコミットメント”の内容としては次のものを含むという。

  • 経営の独立性:当社(=シャープ)及びその子会社の経営の独立性を維持・尊重すること
  • 一体性の維持:当社及びその子会社の各事業の一体的な運営を維持し、当社の希望する第三者との提携についても十分なサポートを提供すること
  • 従業員の雇用維持:既存の従業員の雇用維持という原則にコミットし、組織体制の最適化に関する当社の自律的判断を尊重すること
  • ブランド価値の重要性:顧客サービスや供給製品への責任を含むブランド価値向上のための努力に関する相互理解のもと、「シャープ」ブランドの価値の維持・向上に資する方法により「シャープ」ブランドを継続使用すること
  • 当社の技術の保持:当社の日本における研究開発・製造機能を維持し、当社のコア技術の流出を防止するため相互に協力していくこと

 こうしたコミットメントが果たされる限り、「シャープ」ブランドは存続する見通しとなった。

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