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ARM車載マイコンの拡張に注力――サイプレスいずれはCortex-Mもファミリーに加わる?(1/2 ページ)

Cypress Semiconductor(サイプレス セミコンダクタ)は、ドイツ ニュルンベルクで開催された「embedded world 2016」で、最新のプログラマブルなSoC(System on Chip)「PSoC 4 Sシリーズ」や、車載向けマイコン「Traveo」のデモを展示した。

» 2016年03月03日 09時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

 「embedded world 2016」(2016年2月23〜25日)のCypress Semiconductor(以下、Cypress)のブースでは、「Traveo」と「PSoC」シリーズのデモが来場者の興味を引いていた。

Cortex-Mシリーズ搭載ファミリも、いずれは登場?

ブース 「embedded world 2016」に出展したCypress Semiconductorのブース(クリックで拡大)

 「Traveo」は、ARMの「Cortex-R」コアを搭載したマイコンだ。2016年1月には、Traveoとしては初めてとなる40nmプロセスを用いた「S6J3310/S6J3320/S6J3330/S6J3340/S6J3350シリーズ」を発表した*)。既存のファミリーでは、90nm/55nmを採用している。CypressのAutomotive Business UnitでDirector Product Marketingを務めるMathias Braüer氏は、「40nmプロセスを採用することで、メモリ容量を4Mバイトまで拡大できるようになる」と話す。

*)関連記事:サイプレス、車載用40nmマイコンを製品化

 Cypressは、業界でもかなり早い段階でCortex-R5を車載マイコンに搭載した。Traveoの最初の製品が発表されたのは2014年5月(旧Spansionが発表)で、ARMは「Cortex-R5を用いた初めての車載マイコン」と認めている。Braüer氏は、「Texas Instruments(TI)の車載マイコン『Hercules』もCortex-R5を採用しているが、同コアは、どちらかといえばASICやASSPに使われていることが多い。だが、旧Freescale Semiconductorも車載マイコンにARMコアを採用していく方針を(2015年に)発表するなど、独自コアからARMコアに移行する動きは欧州でも続いている。われわれも例外ではない。今後は、ARMコアを採用する車載マイコンが増えていくだろう」と説明する。

 Traveoの今後の製品ロードマップについては、「Cortex-R5の次をどうするのかについて議論しているところだ。ARMとも話し合っており、ARMの今後のロードマップも参考にするつもりだ」と述べた。

 さらに、Braüer氏によれば、Cortex-Mシリーズを用いた車載マイコンファミリーも検討しているという。「その場合は恐らくTraveoではなく、別の名称のファミリーになるだろう」(同氏)。現在、Cypressの車載マイコンには、16ビット/32ビットの独自コアを採用した「F2MC」「FR81S」「FR60」ファミリーと、「Cortex-R4」を採用した「FCR4」ファミリー、そしてTraveoがある。Cortex-Mシリーズを用いた車載マイコンは、まだない。

デモデモボード 左=「embedded world 2016」での「Traveo S6J3200シリーズ」のデモ。ヘッドアップディスプレイ(HUD)と、クラスタの両方を制御している/デモボード。中央の大きなICがTraveo(クリックで拡大)
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