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磁気センサーの“異端児”がウェアラブルを変えるスピン制御で超高感度を実現(5/5 ページ)

» 2016年04月05日 11時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]
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足かけ20年でようやく量産にメド

 マグネデザインは、名古屋市のインキュベーションオフィスである「nabi/白金(ナビしらかね)」に2016年3月1日から入居し、クリーンルームなどの試作センターを建設している。本蔵氏によると、現時点で、月500万個の規模でGSRセンサーを製造できるという。量産拠点はnabi/白金以外の場所に構える計画だ。

 並行して米国シリコンバレーにも事業所を設立すべく準備を進めている。本蔵氏は米国の医療機器メーカーにGSRセンサーの試作品を持ち込むなど、積極的に交渉を始めている。

 本蔵氏は、「MIセンサー」の研究開発も含めれば、約20年をかけてGSRセンサーを開発した。これまでにない、まったく新しい原理を用いた超高感度のGSRセンサーは、磁気センサー界の“異端児”といえるかもしれない。本蔵氏は、ようやく量産のメドが立ったGSRセンサーを、日米を拠点にして、満を持して市場に投入することになる。2025年には、売上高2000億円超を目指す。

IoT時代の日本の役割

 IoTでは、膨大な数のセンサーが使われると予測されている。磁気センサーも、スマートフォンからウェアラブル機器、自動車、医療機器と幅広い分野でこれまで以上に採用が進むとみられている。

 本格的なIoT時代に突入する中、本蔵氏は「IoTにおける日本の役割はセンサー技術ではないか。ソフトウェアはやはり米国が強いだろう」と語る。ただ、磁気センサーでいえば、安価で性能が安定している半導体センサーが普及したまま、飛躍的な性能の向上を実現する新しいセンサーの開発については、やや“足踏み状態”が続いていた。現時点で最も高感度が高いといえるMIセンサーを小型化して低コスト化し、半導体センサーに追い付くには、ギガヘルツクラスのパルス電流や新しい磁性材料が必要だったと本蔵氏は話す。同氏は、「日本は磁性材料にも極めて強い。今後、磁気センサーは間違いなくスピン制御を用いる第3世代のセンサーが主流になっていく」と続け、IoT時代の日本の勝機はセンサー技術にあると強調した。

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