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ルネサス、5年前の教訓生かした震災対策「成果出た」熊本地震で被災も早期復旧へ(1/3 ページ)

ルネサス エレクトロニクス社長兼CEOを務める鶴丸哲哉氏は2016年5月11日、熊本地震で被災した熊本地区製造拠点の復旧作業状況について説明を行った。

» 2016年05月13日 10時30分 公開
[竹本達哉EE Times Japan]

 「東日本大震災で被災した5年前からBCP(事業継続計画)を全面的に見直し、かなりその成果が出た」。

 2016年5月11日、ルネサス エレクトロニクス社長兼CEOを務める鶴丸哲哉氏は、2015年度決算説明会の席上、こう述べた。4月14日に発生した熊本地震で被災し、熊本地区製造拠点の復旧作業で、「東日本大震災での教訓」が生かされていることを示唆した。

那珂工場での経験

 ルネサスは2011年3月11日の東日本大震災で、主力工場の1つ那珂工場(茨城県ひたちなか市)が大きな被害を受けた。クリーンルームが大きく破損するなどし、3カ月間に渡り稼働を停止し、完全復旧するまでに約半年の時間を要することになった。

東日本大震災発生直後の那珂工場クリーンルーム内の写真。クリーンルーム設備に大きな損傷がみられるなど大きな被害を受けた 出典:ルネサス エレクトロニクス

 那珂工場の被災は直接的な影響だけにとどまらなかった。那珂工場で生産される半導体を使って製造されていた自動車など多くの完成品の生産をも滞らせ、社会的に大きな影響を及ぼした。さらに、被災により、ルネサスが高いシェアを持つ車載マイコン領域を中心に、それまでルネサス1社から半導体製品を調達していた完成品メーカーの多くが、ルネサス以外からも半導体製品を調達するようになり、ルネサスの業績にも大きな影響を及ぼしたのだった。

 東日本大震災で苦い経験をしたルネサスは、地震など災害が生じた場合でも、安定した製品供給を継続し、被災工場を一刻も早く確実に復旧できるよう、BCPを全面的に見直し、万が一の災害発生に備えていた。

熊本地震での被災

 そうした中で、2016年4月14日21時26分に最大震度7の地震が熊本地方で発生。その際、震度6弱の揺れを記録した熊本市南区にある前工程製造拠点ルネサス セミコンダクタマニュファクチャリング川尻工場も強い揺れに見舞われた。

鶴丸氏

 「揺れが大きく、BCPに従い、地震発生30分後には、緊急対策本部を本社に立ち上げた」(鶴丸氏)と、かなり早い時点で、鶴丸氏自ら対策本部長を務め、対応にあたったという。

 BCPに基づき、従業員の安全確保を行った上で、被害状況の把握を実施。そして翌朝の「4月15日朝には、状況把握できた」(鶴丸氏)といい、生産再開に向けた準備に着手した。

 ところが、その夜、本震が発生。「状況把握からやり直しになった」(鶴丸氏)。16日の本震での被害は14日の前震のそれよりも大きく、断続的に余震も続いたこともあり、状況把握には2日を要した。

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