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DRAM、過酷な温度環境への対応で生き残る差異化は難しくても(1/2 ページ)

3D NAND型フラッシュメモリや次世代不揮発性メモリの開発が進む中、DRAMはどのような方向に発展していくのだろうか。米Virtiumは、過酷な稼働環境への対応がその1つだと述べる。

» 2016年05月16日 12時30分 公開
[Gary HilsonITmedia]

 現在、多くの大手メモリメーカーが、3D(3次元) NAND型フラッシュメモリなどの不揮発性メモリ関連の取り組みに注力している。また、さまざまなメーカーが、特定分野を対象としたメモリを幅広い市場に投入している。こうした中、DRAMは今や、低迷が続くタブレット/PC市場において、利益率が低い汎用メモリという位置付けになってしまっている。

 それでも、一部の分野では、DRAMが性能や密度、コストパフォーマンスなどの面から最も有用であるとして、その置き換えを狙うベンダーもいる。例えば、米Everspin Technologiesはこれまで、MRAMの開発に取り組んできた。米Virtiumは、組み込みSSDおよびメモリのサプライヤーである。同社のマーケティング担当バイスプレジデントを務めるScott Phillips氏は、「当社のDRAM製品は、特定の垂直統合型産業にターゲットを定め、民生およびエンタープライズ市場は除外している」と述べている。

 Virtiumは、1997年に設立された。Phillips氏は、EE Timesとの電話インタビューの中で、「当社はここ4年ほどの間、特に産業/組み込み分野のSSDなど、NAND型フラッシュ市場において機会を見いだしてきた。これらの分野は動きが遅く、長期にわたる製品ライフサイクルへのサポートが不可欠だ。10年間使用できる製品が求められている」と述べる。

 同氏は、「例えば医療用途の場合、メモリの品質保証に約3年間を要する。当社は現在も、12年前に開発したSDRAMに対するサポートを提供し続けている」と述べている。

他メーカーが注力していないフォームファクタを実現

 同氏は、「Virtiumは、Micron Technoogyなどの大手メーカーが撤退した市場に参入してきた。しかし、当社が本当に得意とするのは、ULP(Ultra-Low-Profile) RDIMM/Mini-RDIMMフォームファクタの分野だ。当社のメモリモジュールは、JEDEC規格に準拠しながら、他のメーカーが注視していないフォームファクタを実現している」と述べている。

 Virtiumは最近、新しい高容量DRAMを発表したところだ。高さに制約のあるブレードサーバや、1Uラック設計、シングルボードコンピュータ、メザニンカードなど、設置スペースが限られたさまざまな製品をターゲットとする。Phillips氏によると、32GBのULP RDIMM/Mini-RDIMMメモリモジュールは、PC4-2400インタフェースを採用し、工業用温度は−40〜85℃に定められているという。また、一般的な薄型モジュールの寸法が18.75mmであるのに対し、VirtiumのULPメモリモジュールは17.78mmだ。

VirtiumのULPメモリモジュール。

 Virtiumの研究開発担当バイスプレジデントを務めるPhan Hoang氏は、「データやビデオ、VoIT(Voice over the Internet Protocol)などが増大していることから、Virtiumの通信関連の顧客企業にとっては、ラインカード経由のトラフィック量をサポートする上で、引き続き高密度メモリモジュールが不可欠となる。また通信分野では、容量を拡大するに当たり、密度がますます重要視されるようになってきた。こうしたことから、ラインカードで対応可能な高速化と高密度化に注目が集まっている」と述べる。

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