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RF ICのコスト削減を実現するのはテスト工程だ評価と量産のテストを同じ計測システムで(2/3 ページ)

» 2016年05月20日 13時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

開発プロセスの標準化

 久保氏によると、これらの課題に対応するべく、RF ICの開発プロセス(設計〜量産)をある程度標準化する取り組みが始まっているという。

標準化で開発期間を短縮する概念(クリックで拡大) 出典:日本NI

 上記の図をもう少し詳しく説明すると、特性評価から量産までの各工程につき、「ハードウェア(測定システム)の選択」「ソフトウェアのコーディング」「開発デバイス(DUT)のテスト」「テスト結果の相関取り」の4つがある。ソフトウェアのコーディングは、テストを自動化するためのプログラミングだと考えればよい。

 「ハードウェアの選択」と「ソフトウェアのコーディング」を標準化する、つまり、特性評価で使用した計測システムと自動化テストプログラムを、量産の工程まで一貫して使うことで、開発期間を短縮できるという仕組みだ。

 久保氏は、「このように、評価で使用した計測システムを量産でも使用するという流れは、1つのトレンドとして今後も拡大していくと考えている」と語る。

10年たって、実現可能に

 ただし、この考え方は、コンセプトとしては10年くらい前から存在していたという。「だが、それを実現できるプラットフォームがなかった」(久保氏)。

 同氏は、「そこで鍵になるのが、PXI(PCI eXtensions for Instrumentation)のプラットフォームだと考えている」と続ける。PXIはオープンな規格であり、NIやKeysight Technologiesなどが、PXIに対応する計測器を提供している。

設計から量産までの工程で使用する計測器(クリックで拡大) 出典:日本NI

 前出したこの図版でいえば、「例えば『検証と特性評価』に使用したPXIのモジュール式計測器を使い、『量産』では当社が提供するPXIベースの半導体テスター「STS(Semiconductor Test System)」を使用することで、PXIという同じテストシステムを使えることになる」(久保氏)。

 久保氏は「10年前は、PXIにはRFを測定できるモジュールがなかった。今は、当社を含め複数のメーカーからPXI対応のRFモジュールが提供されているので、試作時と量産時のテストを標準化するための手段になる。実際に採用しているメーカーも、(名前を公開できないが)何社か把握している」と説明する。同氏は、「こうしたプラットフォームを取り入れていかなければ、テストコスト、ひいては開発コストの削減は基本的には難しいのではないか」と続けた。

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