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» 2016年05月30日 10時00分 UPDATE

絶縁型モーター制御デバイスのリーダー「Avago」が生まれ変わった:高効率モーター駆動に向けて革新的製品を生み続ける新生Broadcomに迫る

高効率化に向けて、最新のモーター駆動/制御技術が集結した展示会「TECHNO-FRONTIER 2016 第34回モータ技術展」の中でも、ひときわ大きな注目を集めたのが2016年2月にAvago Technologiesから社名変更したBroadcomのブースだ。ここでは、注目を集めたSiC/GaNパワーデバイスに対応する次世代型アイソレーションデバイスや新コンセプトのエンコーダーなど、新生Broadcomのモーター駆動/制御向けデバイスを詳しく紹介していこう。

[PR/EE Times]
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 2016年2月、Avago Technologies(アバゴ・テクノロジー)が、通信用LSI大手のBroadcom Corporation(ブロードコム)を買収し、新生「Broadcom Limited」が発足した――。

 旧Avagoが手掛けたMEMSベースのRFフィルターやミックスドシグナルIC、光学製品、化合物半導体、ストレージ用ICに、旧Broadcomの通信用チップやイーサネットスイッチ、ネットワークプロセッサといった製品ポートフォリオが加わり、売上高100億米ドルを優に超える総合半導体メーカーが船出した。

 巨大な総合半導体メーカーとなったBroadcomは、旧Avago、旧Broadcom時代と変わらず、積極的な新製品開発、緊密な販売サポートサービスの提供は継続して実施している。今後は、両社のノウハウを融合させるなどの相乗効果を発揮し、より積極的な新製品開発、より緊密な販売サポートサービスの提供を実施していく方針だ。

 そうした中で、新生Broadcomは、主力製品分野の1つであるモーター制御向け半導体で、革新的技術を盛り込み将来ニーズを先取りする新製品投入を相次いで実施しており、2016年4月に千葉市・幕張メッセで開催された展示会「TECHNO-FRONTIER 2016 第34回モータ技術展」で、それら新製品を一挙に公開した。

「TECHNO-FRONTIER 2016 第34回モータ技術展」での新生Broadcomブース

 昨今のモーター制御分野での最大ニーズは、“高効率化”だ。世界的な省エネ化の追求が進む中で、全世界の消費電力の40%相当を占めるといわれるモーターの消費電力を抑えることが急務となっている。その中で、高電力効率を実現する新たなテクノロジーを駆使した新型モーターや新たなモーター駆動デバイスが登場してきている。同時に、そうした新たなモーター、駆動デバイスを制御するゲートドライバやアイソレーションアンプ、エンコーダーでも、一層の進化が求められており、これらモーター制御デバイスの大手であるBroadcomは、業界に先駆けて革新的製品を実現させているのだ。

 例えば、「ACPL-352J」は、モーター駆動デバイスとして今後、普及が見込まれるSiC(炭化ケイ素)/GaN(窒化ガリウム)を使った次世代パワーデバイスに対応する高速・スマートゲート駆動フォトカプラだ。

SiC/GaN対応高速・スマートゲート駆動フォトカプラ「ACPL-352J」

 SiC/GaNパワーデバイスは、その優れた材料特性からこれまでのSi(シリコン)製パワーデバイスに大きく勝る高い効率を実現するとされる。同時に、SiC/GaNパワーデバイスは、フィルターなどの周辺部品の小型化にもつながる高速スイッチング動作が可能という利点も備える。そのため、それらSiC/GaNパワーデバイスを駆動するためのゲート駆動フォトカプラも、これまで以上の高速動作が要求されるのだ。

 出力ピーク電流が最大5AのACPL-352Jは、最大伝達遅延時間150ナノ秒、伝達遅延ばらつき最大±75ナノ秒と「SiCやGaNパワーデバイスで想定される200kHz程度の高速スイッチングに十分に追従できる高速性を備えた」とし、SiC-MOSFETやGaN-HEMTを直接駆動できる。

大手パワー半導体メーカーである富士電機は「ACPL-352J」をフルSiCパワーモジュールの社内評価用基板に用いている
高速でGaNトランジスタを直接駆動できる「ACPL-352J」の利点を生かした応用例

 「高速」とともに「スマート」をうたうACPL-352Jは、より大電力を高密度に扱うことになるSiC/GaNパワーデバイス時代に対応する、より賢い保護機能も備えている。調整可能なソフト遮断機能である「DESAT短絡保護」、ヒステリシス付き低電圧動作防止(UVLO)機能など一般的な保護機能はもちろんのこと、新たな独自診断機能「GFAULT」を備えた。

 このGFAULTは、スイッチング後のゲート状態をモニタリングする機能で、ゲートの立ち上がり/立ち下がり後のゲート電圧を監視し、一定の時間内に規定の電圧を下回らない(上回らない)といった異常を検知した場合に、警告を発するという機能だ。このGFAULT機能により、パワーデバイス自体の不具合、強いては機器の故障を招く、「ゲート抜け」などを前もって察知できるようになる。「洋上風力発電設備など、すぐに修理を行えないアプリケーションに対し特に有効な機能で、未然に機器の障害を予測することができ、機器/システムの稼働停止という最悪の事態を回避できる可能性を提供する」と語る。なお同相除去性能(CMR)も50kV/マイクロ秒と高く、ノイズによるパワーデバイスの誤動作も防ぎ、高い信頼性での駆動を実現できる。

 ACPL-352Jは、2016年6月中にサンプルおよび量産出荷が開始される。沿面/空間距離が8.3mm/8.3mmの16ピンSOパッケージを採用し、「将来的な機能の追加やグランドの強化に対応する20ピンSOパッケージ仕様の『ACFJ-3520』も同時に製品化する予定」としている。

「ACPL-352J」「ACFJ-3520」の主なスペック

シャント抵抗で400Aに対応する電流検出用絶縁型Σ-Δモジュレータ

 電流検出用アイソレーション製品としても、次世代をターゲットにした革新的な新製品「ACPL-C799」を間もなく発売する。

「ACPL-C799」の概要

 ACPL-C799は、ホール素子に比べ、より温度変化に強く、より低コストに電流検出システムが構築できるシャント抵抗用のアイソレーションアンプ(シグマ−デルタ モジュレータ)ながら、適切なシャント抵抗との組み合わせにより定格400Aという大電流の検出が可能な製品だ。これまで、シャント抵抗+アイソレーションアンプという構成では、定格50A程度までの電流検出が現実的だったため、画期的といえる大電流検出対応を実現したのだ。

 シャント抵抗で大電流検出が難しかった背景には、電流が大きくなるとシャント抵抗での損失増大という課題があったが、ACPL-C799は0.1mΩという低抵抗なシャント抵抗で、定格400Aまでの電流検出を可能にした。これは、高SN(信号対ノイズ)比のシグマ-デルタ型変調器を採用し、これまで±200mV程度必要だったリニア入力電圧範囲を±50mVまで狭め、その結果、低抵抗なシャント抵抗で高分解能の電流検出を実現したのだ。

 ACPL-C799で電流センシングシステムを構築するには、高精度のシャント抵抗が必要になるが「既に日本国内の抵抗器メーカーとも連携し、最適なシャント抵抗を開発している。数種のシャント抵抗器を推奨品として定め、それらと組み合わせて使用することで、大電流検出システムが容易に実現できる体制を整えている」。

「ACPL-C799」の評価ボード キット。近日の出荷開始に向けて、準備は万全だ

バッテリーレスの革新的マルチビットアブソリュートエンコーダー

 モーター制御には欠かせないエンコーダー。画期的な技術を盛り込んだ2016年4月発売の新製品「AS38-H39xシリーズ」をTECHNO-FRONTIER 2016で披露した。

新しいアブソリュートエンコーダー「AS38-H39xシリーズ」

 AS38-H39xシリーズは、16ビットマルチターン、23ビットシングルターンという合計39ビット分解能を持つアブソリュートエンコーダーだ。こうした高分解能の同エンコーダーは数多く市場に出回っているが、AS38-H39xシリーズが画期的なのは、一切、電池/キャパシター類を搭載しない「完全バッテリーレス」を実現している点にある。

 通常、アブソリュートエンコーダーは、不意な電源停止などが生じた際にでも、モーター位置(回転数カウント)を確実に記憶しておくために、電池などのバックアップ用電源を用意しておく必要がある。電池や一時的に電力をキャッシュしておくキャパシター類は、寿命があり、長期稼働するモーターではメンテナンスの手間が生じてしまうという課題を抱えた。

「AS38-H39xシリーズ」の概要

 一方で、AS38-H39xシリーズは、完全バッテリーレスのメンテナンスフリーを実現しながら、確実にモーター位置を記憶できる新たなテクノロジーを導入。そのテクノロジーとは、モーターの回転から発電を行うエナジーハーベスト(環境発電)技術だ。モーターの軸に取り付ける磁石と、エンコーダー内のコイルを使い電力を起こし、その電力だけで回転数カウンターを動作させる仕組みだ。エンコーダー内に収まる小型環境発電システム技術と超低消費電力動作エンコーダー技術というBroadcom独自の2つの技術が融合することで、実現できた製品だ。

 「従来の電池内蔵タイプと同等以下程度のサイズであり、エンコーダーとしての性能も従来以上を実現している。確実な回転数記録が求められ、かつ、モーター使用数の多くメンテナンスフリー要求の強い多関節ロボットをはじめ、多数の用途から引き合いを得ている。近くアブソリュートエンコーダーはバッテリーレス品が一般的になると予感させる勢い」とし、TECHNO-FRONTIER 2016でも多くの注目を集めていた。

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提供:Broadcom株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2016年6月29日

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「ACPL-302J」は、絶縁型電源を改善しゲート駆動設計を簡素化するスマートゲート駆動フォトカプラです。フライバック・コントローラを集積することにより、分散電源トポロジーを使用して変圧器とコンデンサをより小さくし、基板上の電源配線を簡素化し、電磁障害(EMI)とノイズを最小化することができます。

「ACNTファミリ」のフォトカプラは、高電圧アプリケーション向けに14.2mmの沿面距離と空間距離を持つ。2016年にも予定されるより厳しい規制基準「IEC 61800-5-1」への移行後にも対応する最新フォトカプラとなっている。

ACPL-337Jは、IGBTの動作状態を監視し、分離、駆動、保護およびフィードバックするように設計された最新の高集積ゲート駆動用フォトカプラです。設計者が使用する外付個別部品をさらに少なくしてシステム全体の電力効率と信頼性を改善するために、より多くの新しい機能を備えています。

絶縁性能とノイズ除去性能に加えて、省電力と効率を大幅に改善するアバゴ・テクノロジーの5MBdデジタル・フォトカプラ「ACPL-x2xLファミリ」を紹介する。従来の5MBdデジタル・フォトカプラに比べ消費電力を2割未満に抑えた新製品であり、産業、医療、電力制御システム、通信などの用途で応用が見込まれている。

HCNR201/200アナログ・フォトカプラは、1つのLEDと厳密に整合した2つのフォトダイオードで構成され、高い線形性と安定したゲイン特性を実現する。ユニポーラ/バイポーラ、AC/DC、反転/非反転構成などのさまざまなモードで動作できる柔軟性も備え、電圧/電流検出や電流ループなどのさまざまな産業アプリケーションに適している。

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