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レアメタル不要の共融系二次電池を開発正極側に電解液兼ねる液体の活物質を適用(2/2 ページ)

» 2016年06月09日 15時30分 公開
[竹本達哉EE Times Japan]
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課題は低温時……

 一方で、課題も見つかった。充放電試験は、40℃、25℃の両環境で実施し、温度の低い25℃の場合、充電時と放電時の電圧差がより大きくなることが判明。また、3サイクル目の充放電特性をみた場合にも、40℃では理論容量の97%まで放電電流量が得られたが、25℃の場合は60%にとどまり、低い温度で特性が劣ることが分かった。

25℃と40℃で測定した3サイクル目の充放電特性 出典:産業技術総合研究所
縦軸は充放電時の電池の電圧である。電池に用いられる活物質の量から、電池容量の理論値が計算されるので、その値を1に規格化して表示したのが横軸の下側である。この充放電特性の測定は、0.5mA/cm2という一定の電流密度で行っているため、充放電の電流量と要した時間が比例関係にあり、その時間を横軸の上側に示してある。図中の2つの曲線のうち、下側が放電時のもの、上側が充電時のものである。赤色が40℃、青色が25℃の場合で、温度が高い場合は理論容量の97%まで放電電流量が得られたが、温度の低い場合は60%にとどまった。

 産総研では今後、「負極側にも共融系液体を用いた全共融系型二次電池を含め、優れた性能を示す実用的な共融系電池の開発を推進する」としている。

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