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» 2016年07月04日 15時30分 UPDATE

中性子線を用い、非破壊でリアルタイムに観測:蓄電池内部の挙動、原子レベルで解析に成功

東京工業大学らによる研究グループは、蓄電池内部における充放電時の挙動を、原子レベルで解析することに成功した。中性子線を用いて非破壊かつリアルタイムに観測できるシステムを開発したことによって実現した。

[馬本隆綱,EE Times Japan]

全固体電池など次世代蓄電池の性能向上にも期待

 東京工業大学と高エネルギー加速器研究機構、京都大学らの研究グループは2016年7月、蓄電池内部における充放電時の挙動を、原子レベルで解析することに成功したと発表した。中性子線を用い蓄電池内部の挙動を非破壊でリアルタイムに観測し、自動解析するシステムの開発によって実現することができた。

 研究グループは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「革新型蓄電池プロジェクト(RISING)」(2009〜2015年度)に取り組んできた。このプロジェクトでは、蓄電池の耐久性や安全性などのさらなる向上に加え、ガソリン車並みの走行性能を可能とするEV(電気自動車)用蓄電池(革新型蓄電池)の実現に向けて、基礎技術の研究/開発を行ってきた。電池の基礎的な反応メカニズムの解明もその1つである。

 研究グループはまず、中性子線を用いて電池内部の電気化学反応と電極材料の構造変化などを、実動作環境下で観測(オペランド測定)できるシステム(中性子回折計)を開発した。このシステムを用いると、リチウムイオンなど軽元素の挙動を非破壊かつリアルタイムに観測し、そのデータを自動解析することができるという。

今回開発した実用蓄電池オペランド測定用中性子回折計。左上が外観、右上が実験の概要。下は18650型円筒リチウムイオン電池及びその拡大図 出典:NEDO

 次に、一般的な18650型円筒リチウムイオン電池を0.05〜2Cレートで充放電させ、その時の内部反応を、今回開発したシステムで観察した。この結果、負極側では「不均一な電池反応が進行し、高レートでは反応に寄与しない相が発生する」ことや、「充電と放電で反応機構が異なる」ことが判明した。一方、正極側では「放電時に使用される組成領域が、高レートで変化する」ことなどが分かった。研究グループは、「充放電時に不均一かつ非平衡に進行する電池反応を観察できたのは世界でも初めて」と主張する。

充放電中の電極材料の構造変化をリアルタイムで観測し、リートベルト法により構造解析した結果例 (クリックで拡大) 出典:NEDO
放電時の電極材料の相変化(左上0.05Cレート時、右上0.1Cレート時、左下0.5Cレート時、右下1Cレート時) (クリックで拡大) 出典:NEDO
放電時の電極材料の相変化(2Cレート時) (クリックで拡大) 出典:NEDO
放電時と充電時で異なる反応機構を示すグラファイト負極(左側の上下が0.05Cレートの充電、右側の上下が0.05Cレートの放電) (クリックで拡大) 出典:NEDO

 今回の研究成果は、現地時間2016年6月30日発行の英国科学誌「サイエンティフィックリポーツ(Scientific Reports)」に掲載された。

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