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米新興企業の「Tofino」、SDNを一変させる?高速スイッチと新オープンソース言語で(1/2 ページ)

米国のBarefoot Networksが開発したネットワーク向けのプログラマブルスイッチ「Tofino」や新しいオープンソース言語「P4」は、SDN(Software-Defined Networks)業界を大きく変える可能性がある。

» 2016年07月07日 12時30分 公開
[Rick MerrittEE Times]

オープンソースの新言語「P4」

Martin Izzard氏

 マイクロプロセッサを手掛ける数少ない新興企業Barefoot Networksが、数十億米ドル規模の巨大なネットワークハードウェア業界の様相を一変させようとしている。同社のチーフエグゼクティブであるMartin Izzard氏は、80人の社員と共に開発したプログラマブルスイッチ「Tofino」を近々テープアウトする予定だとしており、これによって戦略的くさびを打つことができると期待しているという。

 Barefoot Networksはこれまでに、GoogleやGoldman Sachs、HPE(Hewlett-Packard Enterprise)などをはじめとする戦略的なスポンサー企業から、1億3000万米ドルもの資金を調達している。Barefoot NetworksのTofinoチップは、同社も作成に携わった新しいオープンソース言語「P4」を使うことにより、複雑なネットワークのプログラミング作業を、C++でコードを記述する場合と同程度に簡素化することが可能だという。

大手メーカーが採用予定

 Barefoot Networksは、一般的にSDN(Software-Defined Network)と呼ばれているトレンドの最前線を行く。SDNは、独自開発のAPI(Application Programming Interface)やプロトコル、ASICなどによって繰り広げられている競争を切り抜けていくための取り組みだといえる。

 Tofinoチップとソフトウェアは、Cisco SystemsやEricsson、Huawei、Juniper Networks、Nokiaなどの大手メーカーのシステムに搭載される。こうしたシステムの大半の処理を、高度な言語で記述されたプログラムで制御される一般的なコンピュータサーバ上で実行することが狙いだ。

 ネットワークをサーバ経由で管理するのは、非常に難しい。しかし、このいわゆる制御プレーンは、データプレーンほど複雑でも高速でもない。データプレーンでは、ビットを切り替えて、10Gビット/秒〜100Gビット/秒の速度でオンザフライでルーティングする必要があるためだ。これこそ、Barefoot NetworksがTofinoチップとP4のターゲットとして狙う分野である。

 Izzard氏は、「当社のアイデアは非常にユニークであり、シリコンバレーの金融市場からもその価値を認められている。GoogleやGoldman Sachs、HPEの他、無名の機器メーカーとも協業することにより、大規模なWebスケールデータセンターやエンタープライズユーザーに向けて急激な成長を実現することが可能な、数多くの潜在顧客を確保することができる」と述べている。同氏はかつて、Texas Instrumentsに勤務し、ネットワーキングを手掛ける大手OEMメーカーのASIC開発をサポートした経歴も持つ。

 Barefoot Networksは、数週間前に行われた直近の投資ラウンドにおいて、5700万米ドルを獲得した。2016年末までには、複数の顧客企業向けに、Tofinoチップのサンプル出荷を開始できる見込みだとしている。このうちの数社は既に、システム設計を開始したという。Izzard氏は、「2017年半ばには生産を開始して、さらなる成長拡大を実現するための資金を確保するとともに、数多くの顧客企業からTofinoチップへの興味を引き起こすことができるとみている」と述べる。

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