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» 2016年07月20日 10時30分 UPDATE

まるでスポンジのよう、ナノ細孔が柔軟に変形:新構造のグラフェン、優れた導電性・耐食性示す (1/2)

東北大学の西原洋知准教授らによる研究グループは、導電性と耐食性に優れた大表面積スポンジ状グラフェンの開発に成功した。この材料を電気二重層キャパシターの電極に適用したところ、従来に比べて最低2倍のエネルギー密度を達成した。

[馬本隆綱,EE Times Japan]

電気二重層キャパシター、エネルギー密度を2倍に

 東北大学多元物質科学研究所の西原洋知准教授及び京谷隆教授と、アリカンテ大学(スペイン)のベレンガー・ラウル博士らの研究グループは2016年7月、導電性と耐食性に優れた大表面積スポンジ状グラフェンの開発に成功したと発表した。微小な穴(細孔)を持つスポンジ状の材料である。この材料を電気二重層キャパシターの電極に適用したところ、従来に比べて最低2倍のエネルギー密度を達成することができたという。

 研究グループが開発したのは、直径が数ナノメートル以下の微小な孔(穴)を取り囲む細孔壁が、主に単層グラフェンから成るメソ多孔体「グラフェンメソスポンジ(GMS)」である。開発に当たっては、市販されているアルミナナノ粒子を鋳型として、比較的結晶性の高い炭素多孔体(CMS)を合成し、熱処理を行った。

 CMSは、1800℃という高い温度でも多孔体構造の収縮はなく、高い品質の単層グラフェンを主成分とする炭素多孔体に転換できることが分かった。研究グループがGMSと名付けたこの材料は、細孔の大きさが約5.8nmで、メソ孔と呼ばれる微小な細孔をもつ発泡体のような構造だという。

グラフェンメソスポンジ(GMS)を合成する仕組み (クリックで拡大) 出典:東北大学

 合成したGMSは、腐食の原因となるグラフェンの端がほとんど無い構造である。比表面積は1940m2/gを実現した。活性炭(1000〜2600m2/g)と同様な比表面積を保ちつつ、カーボンブラックを上回る導電性と耐食性を達成した。このため、新材料は吸着剤や触媒担体、電極材料、導電助剤といった用途で期待されている。

 これまでの代表的な炭素材料は、黒鉛やカーボンブラック、活性炭などである。黒鉛は導電性と耐食性に優れているものの、比表面積はほぼゼロである。活性炭は比表面積が大きいものの、グラフェンの端が大量に存在するため、導電性と耐食性は低い。カーボンブラックは導電性や耐食性、比表面積が、いずれも黒鉛と活性炭の中間的な値を示す。これ以外にも多くの炭素材料が開発されてきたが、導電性、耐食性、比表面積などの材料特性はトレードオフの関係にあり、全ての項目で優れた特性を得ることが難しかったという。

GMSと従来材料との比較 (クリックで拡大) 出典:東北大学
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