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» 2016年08月09日 13時30分 UPDATE

脳卒中後のリハビリロボ、北極の氷床下を移動するROV:NIがアカデミック関連のプロジェクトを紹介 (1/3)

National Instruments(ナショナルインスツルメンツ、以下NI)は、2016年8月2日〜4日に年次テクニカルカンファレンス「NIWeek 2016」を開催した。本稿ではNIのアカデミック分野や教育関連の取り組みについて紹介する。

[佐々木千之,EE Times Japan]

 National Instruments(ナショナルインスツルメンツ、以下NI)は、2016年8月2日〜4日に、米国テキサス州オースチンで「NIWeek 2016」を開催した。NIWeekが始まる前日の8月1日には、アカデミック関連の取り組みや成果を紹介するAcademic Forumの講演が行われた。講演や展示会場から筆者が気になったものを取り上げる。

 NIは毎年、学生を対象にした革新的プロジェクトのコンテスト「Student Design Contest」を開催しており、Academic Forumの基調講演では最終選考に残った3つが紹介された。英国University of Leedsのリハビリ装置「PROJECT ALAN」、デンマークAarhus Universityの北極海向け水中ロボット「DEEP FREEZE ROV」、デンマークTechnical Universityの超低燃費カー「DTU Roadrunner」だ。いずれもNIの製品を用いて、開発の低コスト化と短期間化を実現している。

脳卒中で失われた運動機能を再プログラミングする

 PROJECT ALANは、脳卒中によって腕の運動機能に問題を持つ人々のリハビリテーションを支援するプロジェクトだ。脳卒中は世界で年間1500万人が発症、生き延びた人々も85%はなんらかの後遺症を抱えているという。運動機能の回復には長期間のリハビリテーションが必要だが、患者にとっては病院へ通って専門医に診てもらうことの経済的な負担も大きい。PROJECT ALANは、腕が動かせなくなった患者への特別なリハビリテーションを、ロボットアームによって行うものだ。

画面手前のアームを使って画面内のイモムシ(?)を動かし、赤いリンゴを食べさせるゲーム形式のリハビリテーション。患者の手の動きはデータ化して蓄積され、専門医が回復度合いをチェックできる(クリックで拡大)
下のアームがリハビリテーションシステムのもの、その上に白く見えるのが3Dプリンタで出力したテスト用ロボットアームの外装。オープンソースベースのロボットのリソースを使うことで短期間に開発できたという(クリックで拡大)

 単調な動きの繰り返しで飽きないよう、ゲーム性を取り入れたシステムとなっており、画面に表示されるリンゴを、ロボットアームで操作するイモムシで追いかける。患者が、画面を見ながら、「この方向に動かそう」と考えることと、腕の動きを一致させることで、脳卒中で失われた運動機能を再プログラミングするという。ロボットアームは患者の腕のわずかな動きに応じて、目標であるリンゴに向かうようアシストする。この微妙なアシストを、シングルボードRIOが制御し、スムーズかつ安全で確実な動作を提供している。シングルボードRIOとは、再構成可能な計測/制御用ハードウェアで、ユーザーが量産する機器にそのまま組み込めるようになっている。

 PROJECT ALANでは、この患者用システムを人間の代わりにテストするシステムも製作しているが、そちらは「myRIO」で制御している。myRIOは、エンジニアリングやサイエンスを学ぶ学生向けの製品で、手のひらサイズのケースにXilinxのSoC(System on Chip)や各種センサー、I/Oなどを搭載した製品となっている。テスト用ロボットアームの製作では、オープンソースのロボットアームを基に開発し、アームの外装は3Dプリンタで出力することで、開発期間とコストを抑えた。

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