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» 2016年08月19日 12時30分 UPDATE

半導体商社トップインタビュー フューチャーエレクトロニクス:「在庫は資産」を成立させる半導体商社がいた (1/2)

2016年になっても収まる気配がない、半導体業界に吹き荒れるM&Aの嵐。この業界再編は、半導体商社にとっても変革期を迎えたことを意味するだろう。そこで、EE Times Japanでは、各半導体商社のトップに今後の戦略を問うインタビュー企画を進めている。今回は、フューチャーエレクトロニクスの日本法人で社長を務める徳永郁子氏に話を聞いた。同社は“在庫は資産”の理念を掲げる。

[庄司智昭,EE Times Japan]

半導体商社は、業界再編の波にどう立ち向かうか

 2015年、半導体業界にはM&Aの嵐が吹き荒れる1年となった――。

 その勢いは2016年になっても収まる気配がなく、ソフトバンクによるARM買収Analog DevicesによるLinear Technology買収と、業界を揺るがす話題が相次いでいる。この業界再編は、半導体商社にとっても変革期を迎えたことを意味するだろう。

 そこで、EE Times Japanは、「業界再編の波に、半導体商社はどう立ち向かうのか」と題して、各社トップへのインタビューを進めている。今回は、Future Electronicsの日本法人フューチャーエレクトロニクスで社長を務める徳永郁子氏だ。在庫をなるべく抱えたくないのが一般的な半導体商社。しかし、同社は“在庫は資産”の理念を掲げる。


Avnet、Arrow、WPGに続き世界4位の規模

徳永郁子氏

 Future Electronicsは1968年に創立し、カナダのモントリオールに本社を置く。2016年8月現在、169拠点49カ国に展開する半導体商社だ。従業員数5000人、サプライヤーは300社を超える規模だが、株式非公開のプライベートカンパニーであり、売上高などの業績は非公開となっている。

 米国業界紙「TOP Distributors 2016」によると、電子部品ディストリビューター売り上げ規模では、Avnet、Arrow、WPGに続き世界4位である。TOP Distributors 2016では、Future Electronicsの売り上げは50億米ドルと予測されているが、徳永氏は「ほとんどの社員も、正確な業績数値を知らされていない」と語る。

 日本法人の組織体系としては、照明器具メーカーを対象としたLEDソリューションを提供する「FLS」、半導体・電子部品を提供する「FAI」事業部の2つが主軸である。グローバルでみるとFAIの売り上げが多いが、国内は照明のLED化が早く進んでいるため、FLSの売り上げが主力になっている。FAI、FLSの事業とは別に、他の電子部品・半導体商社との協業を行う「BPP(ビジネスパートナープログラム)」と呼ぶ事業も展開している。

同社が持つ流通ソリューション (クリックで拡大) 出典:フューチャーエレクトロニクス

 また、イギリスとシンガポールにも本社機能があり、それぞれ倉庫・配送センターを持つ。在庫状況は、全世界をカバーするシステムでリアルタイムに把握でき、もしシンガポールに在庫がなかったとしても、モントリオールから調達するといった方法を選択可能だ。約300人のエンジニアを世界中に配置し、設計サポートも展開している。

「在庫は本当の意味での資産だ」

 冒頭にも述べた通り、同社の特長は“在庫は資産”を掲げていることにある。その例として、「BIM(Bonded Inventory Management)」と呼ぶプログラムがある。

 BIMは追加料金なく、顧客が出した生産計画に対して、3カ月分の在庫を常時確保するというサービスだ。こうしたサービスは、他の商社ではあまり見受けられない。なぜなら、商社にとって“在庫は資産”というよりも、“在庫は経営を圧迫するリスク”という側面が強いからだ。在庫は量が増えると、キャッシュフローを悪化させる上、売れ残り不良在庫となるリスクも増大する。

 一般的な半導体商社の在庫回転期間は、1〜1.5カ月だ。見通しが甘くなりがちな顧客の生産計画をうのみにして、3カ月分も在庫を商社が抱えてしまったら、不良在庫のリスクは相当に高くなる。それにもかかわらず、Future Electronicsは、カスタム品にこそ制約を設けるものの、顧客の生産計画に沿い3カ月分の在庫を常時確保するというのだ。

 国内半導体商社での勤務経験が長い徳永氏は「“持つことは悪”とされる在庫を3カ月分以上も持っていることに驚き、戸惑った。これまでの経験上、あり得ない在庫の量だった。だが、商社が在庫を多く持つことは、顧客側にとって利点でしかなく、この点がFuture Electronicsの大きな強みになっている。当社が大事にしているのは、“在庫は本当の意味でアセット(資産)”であること。こうした思い切ったことができるのも、全てはキャッシュフローを気にしなくて済むプライベートカンパニーだからこそ」と語る。

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