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» 2016年08月22日 10時00分 UPDATE

オン・セミコンダクター 副社長 David Somo氏:強みは5万品種に上る製品群、IoT向けプラットフォーム構築を目指す

2006年以降だけで11件にも及ぶM&Aを実施し、積極的に製品群の拡大を行ってきたオン・セミコンダクター(ON Semiconductor)。手掛ける製品は4万8000品種に上る。広範な製品群を武器に、センサー、マイコン、無線接続機能向けの製品をさらに充実させ、IoT(モノのインターネット)機器開発に向けたプラットフォームを構築するというシナリオを描いている。コーポレートストラテジ&マーケティング担当副社長のDavid Somo氏に同社の技術/製品戦略などについて聞いた。

[PR/EE Times]
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売上高の3分の1は成長市場の車載から

――直近のビジネスの概況を教えてください。

David Somo氏 2015年の売上高は34億9600万米ドル。このうち10億米ドル以上、つまり約3分の1は自動車分野での売り上げになる。次に大きいのが産業分野だ。これには医療と航空宇宙、軍事、そしてモーター制御や電源など一般的な産業機器が含まれていて、約35億米ドルのうち22〜23%を占めている。コミュニケーション分野での売り上げは全体の約18%となっている。

 つまり、当社の年間売上高の70%以上が、自動車、産業、コミュニケーション分野で構成されている。この利点というのは、これら3つの市場がいずれも成長市場だということだ。半導体市場が縮小傾向にある中、オン・セミコンダクターの2015年の年間売上高は、2014年比で10%成長した。

 2016年第1四半期の売上高は8億1720万米ドルで、このうち40%が自動車分野での売上高となっている。

 売上高を地域別にみると、日本を除くアジア太平洋地域(APAC)からの売り上げが全体の50〜60%を占めていて、欧州と米国はそれぞれ15%、日本は8〜9%となっている。

2015年の売上高における市場別および地域別売り上げ比率(クリックで拡大)

――ここ数年、「車載」「産業」「コミュニケーション」を注力分野としてきました。

Somo氏 注力分野は現在の市場動向だけではなく、将来的な市場の可能性も見据えながら決めている。それを考えると今後5〜7年間は、注力分野が変わることはないだろう。

広範な製品群

――それぞれの分野におけるオン・セミコンダクターの強みとは何でしょうか。

Somo氏 車載分野では、とにかく広範な製品群をそろえているという点だ。エンジン制御やマイクロハイブリッド、オンボード・チャージャー向けなどのパワートレイン部、LEDライティングやドアモジュール、インフォテインメントなどのボディ部に対応する幅広い製品を提供している。

 車載カメラ市場では既にトップシェアを獲得している。2014年にAptinaを買収したことが功を奏して、2015年における車載用イメージセンサー市場では45%のシェアを獲得した。

 産業分野では、例えばモーター制御ICで世界第2位、医療分野では、DSPを集積した補聴器向けのSoC(System on Chip)でトップシェアを持っている。ペースメーカーなど体内に埋め込む医療機器や画像診断システム向けの半導体も提供しているが、これら医療・ヘルスケアの分野は今後大きく伸びると予測され、会社の成長に貢献する分野だとみている。

 コミュニケーションでは、モバイルデバイス向けのイメージセンサーを搭載したカメラモジュール市場で既に強固なポジションを築いている。光学式手振れ補正やオートフォーカス向け製品は、日本のシステム・ソリューションズ・グループが開発を手掛けているものだが、ここも強みを持っている分野だ。新しい市場としてはIoT(モノのインターネット)機器、例えばウェアラブル、ドローン、VR(仮想現実)/AR(拡張現実)など向けに、既に実績のあるこれらの製品を展開を展開していきたいと考えている。

IoT市場で勝負するポイントとは

――IoTは非常に幅広い市場になりますが、IoT向けの製品展開について、どのような戦略を取っていくのですか。具体的な取り組みや成果を教えてください。

Somo氏 IoT市場で勝負するには、センサー、無線接続機能など幾つかおさえるべきポイントがある。

 無線通信については、ZigBeeや6LoWPAN対応のSoC(System on Chip)トランシーバーICなど、ここ2年ほどをかけて製品ポートフォリオを構築してきた。さらに、2015年にスイスのAXSEMを買収したことで、サブギガヘルツ帯の無線通信に対応するRFソリューションもそろった。2016年5月には、当社の「AX-SFEU SoC」が、LPWA(Low Power Wide Area)ネットワークとして欧州を中心に普及し始めているSigFoxの認証を取得したと発表している。

 無線通信ではこのように実績を積み重ねているので、あとは制御技術、具体的には組み込みマイコンの集積に、より投資することが必要だと考えている。

 さらに、アプリケーション開発専門の技術も強化していきたい。現在、当社は4万8000種類もの製品を提供している。出荷数は1週間当たり10億個、年間では520億個に上るが、われわれの顧客は、知識と経験が豊富なエンジニアだけではない。IoT市場の台頭によってエレクトロニクス産業に参入しようと考えている、エンジニア以外の方も増えている。こうした顧客は、IoT機器の開発についてわれわれにサポートを求めている。

 そこで、世界中に設立した9つのソリューション・エンジニアリング・センターにおいて、ソフトウェア開発、ハードウェア開発を含め、アプリケーション開発に必要な専門技術を強化している。レファレンス設計キットや開発ツールなどを提供することで、顧客はIoT機器を短期間で開発し、市場に投入できるようになる。単に半導体ICを提供するだけでなく、IoT機器の開発に必要な技術と知識を提供することを目指している。

――つまり、ディスクリートデバイスからソフトウェアなどを含む、IoT機器開発向けのプラットフォームを構築しようとしている、ということでしょうか。

Somo氏 その通りだ。スマートウォッチを例に取って考えてみたい。スマートウォッチには、マイコン、Bluetooth Low Energyなどの無線接続機能、各種センサー、充電用回路、電源管理ICなどのハードウェアと、スマートウォッチの機能を実現するためのソフトウェアで構成されている。これらスマートウォッチに必要な一連のソフトウェアとハードウェアを当社から全て提供できれば、顧客は、自分たちが開発したスマートウォッチをいち早く市場に投入できるようになる。それを実現できるような製品ポートフォリオの構築を目指す。

デバイスからソフトウェアまでをそろえたIoT機器向けのプラットフォーム(クリックで拡大)

フェアチャイルドの買収

――2015年11月にフェアチャイルド・セミコンダクターを24億米ドルで買収すると発表された時は大きな話題になりました。どういった分野でシナジー効果を発揮できるのでしょうか。顧客にとっての利点は何ですか。

Somo氏 まず、売上高の面では、2015年の売上高はオン・セミコンダクターが約35億米ドル、フェアチャイルドが約14億米ドルだったので合計で50億米ドルになる。

 当社は従来、低電圧から中電圧のパワーデバイスが強く、反対にフェアチャイルドは中電圧および高電圧パワーデバイスに強みを持っている。両社の製品ポートフォリオを組み合わせれば、低電圧から高電圧までを全てカバーしたIGBTやMOSFET、Super Junction型MOSFETなどを提供できるようになる。

 フェアチャイルド買収後の当社は、パワーデバイスの市場でシェア2位のポジションにつくことになる。

 車載では、フェアチャイルドはEV(電気自動車)/HEV(ハイブリッド車)向けのIGBTやMOSFET、IPMで既に強固な地位を築いている。コミュニケーションの分野では、当社は主に携帯電話機の“中”に搭載される半導体、例えば電源管理IC、保護用IC、フィルター、カメラモジュールなどに強みを持っている一方、フェアチャイルドはバッテリー充電器やACアダプター向け半導体がそろっている。つまり当社はDC-DC側、フェアチャイルドはAC-DC側の技術を持っていて、補完関係にある。

 半導体メーカーとしては、メモリを手掛けるメーカーを除くと、世界10位になる。

 さらに、当社は売上高の11%をR&Dに投資しているので、買収後は5億米ドルを研究開発費に当てられるようになる。これも買収で得られる大きな利点の1つだ。

進むモジュールへの移行

――2015年のR&D活動を象徴するような新製品はありますか?

Somo氏 2015年に、UPS(無停電電源供給)やソーラーインバーターなど向けに、当社初となるパワー・インテグレーテッド・モジュール(PIM:Power Integrated Module)「NXH80T120L2Q0PG」を発表した。当社の高性能IGBTとファストリカバリー・ダイオードをモジュール化したものだ。PIMに対して強いニーズがあることは認識してはいたが、これまで当社はダイ、ウエハーあるいはディスクリートのパワーデバイスしか提供していなかった。ディスクリートだけでなくモジュールへの移行も進めることで、より高信頼性、高効率の電力ソリューションのニーズに応えられるようになった。

――今後はどのように研究開発を進めていくのでしょうか。

Somo氏 先ほど述べた通り、当社は年間売上高の11%を研究開発(R&D)に投資している。つまり2016年度は約3億5000万米ドルを開発に回すことになる。

 車載分野では、大きく分けてプロセス技術開発とパッケージング技術開発に投資する。プロセス技術では、特に、低電圧のアナログ/ミックスドシグナル製品向けと、車載向けなどの高電圧のCMOS/ミックスドシグナル製品向けに注力する。パッケージに関しては、これまでも車載向け製品の堅ろう性を強化すべくさまざまなパッケージを用意してきた。とりわけ電気自動車用インバーターなどパワー向けでは数百〜数千キロワットクラスの大電力向けのパッケージが必要になる。このニーズに応えるべく、パッケージングだけでなくモジュール化技術の開発も進めていく。

電力密度を向上するためのさまざまなパッケージング技術を提供している。今後はIPMなどモジュール化にも力を入れる(クリックで拡大)

 産業分野では、やはりイメージセンサーの開発に注力したい。特にダイナミックレンジの向上が課題となっている。イメージセンサーはADAS(先進運転支援システム)や自動運転などを実現する上でも欠かせない部品だが、明るい環境でも暗い環境でも高解像度の画像を実現できるよう、広いダイナミックレンジへのニーズが高いからだ。イメージセンサーのパッケージングでは3次元に積層する技術の開発を進めている。

次世代パワー半導体でも補完性が

――GaNベースの電力システム向けソリューションについて、2014年にTransphormと業務提携していますが、GaNの製品開発の進捗はいかがですか。

Somo氏 2015年3月に、提携後初の製品として、TransphormのGaN FETを用いた耐圧600VのGaNトランジスタを発売した。実はこちらも、フェアチャイルドと補完的な関係を結べる分野となっている。フェアチャイルドはSiCの開発を手掛けているからだ。一般にSiCパワーデバイスは耐圧1200V、GaNパワーデバイスは同600V以下をターゲットとしているので、うまく棲み分けを図りつつ、低耐圧から高耐圧までを全てカバーするパワーデバイスを提供できるようになる。


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提供:オン・セミコンダクター株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2016年9月21日

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