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トレックス、車載攻略の中核拠点を大阪に開設最新鋭設備で車載市場での存在感アップ狙う(1/2 ページ)

車載向け電源IC事業を強化しているトレックス・セミコンダクターは、大阪府吹田市に車載向け製品開発/技術サポート拠点を開設し、本格稼働を開始した。車載ビジネス拡大に向けた中核拠点と位置付け、これまで国内各地に点在した車載用製品開発サポート機能を1カ所に集約、増強した。

» 2016年08月22日 09時30分 公開
[竹本達哉EE Times Japan]

点在した車載ビジネス関連機能を1カ所に集約

 トレックス・セミコンダクターは、車載用半導体事業強化の一環として「関西技術センター」を新設し、本格稼働を開始した。これまで日本各地に点在していた車載向け半導体製品開発、生産技術開発、品質保証の3機能を同技術センターに集約。車載市場における開発から販売/サポートまでの事業スピードを向上させる。

 電源ICを主力とするファブレス半導体メーカーのトレックスは、2010年頃から主力の民生機器向けに加えて、産業機器、車載機器、医療機器向けの電源IC市場に本格参入した。車載向けビジネスでは、それまで民生機器向けに展開してきた小型、高効率を特長にした電源ICをカーナビゲーションシステムなどインフォテインメント領域を中心に展開し、採用数を着実に増やしてきた。その結果、2015年3月期の車載機器向け売上高は、全社売上高の12.4%に相当する約13億円にまで達した。

トレックス・セミコンダクターの用途別売り上げ構成推移。車載機器向け売上高割合は年々上昇し、2017年3月期は16.4%にまで高まる見通し (クリックで拡大) 出典:トレックス・セミコンダクター

ADAS/ボディー向け製品の量産出荷に向けて

関西支店長も兼務する同社取締役の木村岳史氏

 同時にこの間、車載用途に特化した新製品開発を進め、車載カメラモジュールなど先進運転支援システム(ADAS)やボディー系車載機器へのデザインイン活動を実施。同社取締役執行役員で事業本部長を務める木村岳史氏は「2017年から、ADAS、ボディー系への量産出荷が立ち上がる見通し」という。

 一般的に、ADAS/ボディー系は、インフォテインメント領域よりも、高い信頼性、品質が要求される。それに従い、技術サポートもより高度な技術レベルで、かつ、迅速な対応が求められる。

 木村氏は「一層、車載向けビジネスを拡大するため、車載品質の新製品開発を加速させる方針。特にこれまでの低耐圧製品だけでなく、60V動作品など中高耐圧製品のラインアップを急ぐ予定だ。量産が始まるADAS/ボディー系製品のサポート体制強化と併せて、製品開発を加速させるために『関西技術センター』を開設した」という。

クリーンブース完備

大阪・江坂に立地する関西技術センターの建屋。西日本地区の営業を担当する関西支店も兼ねる (クリックで拡大)

 関西技術センターは、これまで大阪市の新大阪駅近くにあった関西支店/関西開発センターを移転する形で、2016年4月に大阪府吹田市・江坂に開設。従来の関西開発センターは、車載向け製品の開発機能を担っていたが、新設の関西技術センターでは、製品開発以外にも、品質保証と生産技術開発の機能も担う拠点とした。

 車載向けビジネスを担当する山崎英正氏は、「これまで品質保証機能は札幌、生産技術開発は岡山といった具合に、各地に点在していた。今回、車載向け製品に関わる製品開発、品質保証、生産技術開発の機能を、自動車/電装品メーカーが多い中京・関西・中国地区の営業を担当する関西支社と併設の関西技術センターに集約し、あらゆる面でのスピードアップを図った」と技術センター開設の狙いを説明する。

左=関西技術センター1階フロア / 右=山崎英正氏

 関西支社兼関西技術センターの建屋は、延床面積840m2の3階建て。1階部分に“技術センター”としての機能を持たせ、試作品実験設備、信頼性試験装置、解析設備が並ぶ。クラス1万のクリーンブースも備える。

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