インタビュー
» 2016年09月05日 15時30分 UPDATE

コンバージド化するエレクトロニクス製品:ソフトが決める製品機能、生死を分けるテスト能力 (1/2)

エレクトロニクス製品の機能にソフトウェアが占める割合が急速に高まっている。ソフト中心のものづくりだ。こうしたなか、エレクトロニクス関連企業の抱える課題とは何か、どうすれば解決できるのか。米テキサス州オースチンで開催された米ナショナルインスツルメンツ(NI)のテクニカルカンファレンス「NIWeek 2016」の会期中、同社のエクゼクティブ・バイスプレジデントを務めるEric Starkloff氏に聞いた。

[畑陽一郎,EE Times Japan]

ソフトウェアの固まり「コネクテッドカー」を実現するには

米National Instrumentsでグローバルセールス&マーケティング部門エクゼクティブ・バイスプレジデントを務めるEric Starkloff氏

――エレクトロニクス分野で今後最も成長が期待できる分野は何ですか。ナショナルインスツルメンツ(NI)はその分野に対してどのように取り組むのでしょうか。

Eric Starkloff氏 エレクトロニクス業界に限らず、最も興味深い動向が「コンバージェンス(convergence:収束、集中)」だ。複数の業界が集まることに特徴がある。最も成長が期待でき、かつコンバージェンスが起こっているのが「コネクテッドカー」だ。

 コネクテッドカーはもちろん自動車なのだが、エレクトロニクスの比重が大きい。さらに自動車産業界以外から参加する企業が目立つ。米Googleや米Tesla Motorsはもちろんのこと、さまざまな業界の企業が関与しようとしている。

 数カ月前に訪日した際、日本の大手自動車メーカーの責任者と会った。興味深かったのが、先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driver Assist Systems)に対する彼らの考え方の変化だ。1年前までは、過去4〜5年の研究開発の蓄積に基づき、ADASを実現する技術があると自負していたが、昨年以降はこれまでのロードマップを改めた。予想よりも急速に関連技術が進歩しているためだ。

 これはコンシューマーエレクトロニクスで経験がある事態だ。日本の大手自動車メーカーはスケジュールを前倒しするために、機器のテストを改善しようとしている。そのためには、コンバージドHIL(Hardware In the Loop)が必要だろう。なぜなら、従来HILが対象としてきた車載電子制御ユニット(ECU)に加えて、新たに車載レーダーや車載カメラの検証が必須になっているからだ。

 車載レーダーなどを組み合わせて検証できるHILは世の中に見当たらないが、当社のプラットフォームはRFやカメラなどを扱うことができ、コンバージドHILにも対応しやすい。

――ADASに対して、自社製品に自信があるのはなぜですか。

Starkloff氏 これまでのHILは柔軟性に乏しい。自動車の技術革新が比較的ゆっくりしたものだったため、それでも構わなかった。だが、現在は違う。ハイブリッドシステムやエンジン駆動に替わるモーター駆動はもちろん、今後はADASや車内インフォテインメイントに対して、フレキシブルなHILでなくては対応できなくなる。

 そこでコンバージドHILが必要になる。シミュレート対象となる機器が内部で全て密に結合しながら動作するHILだ。

 今回のNIWeekの期間中、多数の自動車メーカーの責任者と話をした。中でもTesla Motorsのソフトウェア部門の責任者の話が興味深かった。Tesla Motorsの電気自動車はファームウェアのアップデートのために販売店などへ出向く必要がない。無線でアップデートするためだ。私が話をした責任者は、アップデートを実行するかどうかを最終的に決断する人物だ。彼が言うには洗練されたコンバージドHILがなければ、ファームウェアのアップデートを検証することができないのだという。携帯電話のアップデートとは違い、人命にかかわるアップデートだからだ。1つのコンポーネントを更新した場合、100台に及ぶECUに影響がないことを確認しなければならない。

――エレクトロニクス業界がこのように変化している中、NIにはどのような影響がありますか。

Starkloff氏 当社のHILは、自動車の周囲の環境全てをシミュレートできる。自動車の機能のどこを変えたとしても検証可能だ。テスト条件やテストシナリオが変わった場合にもきちんと確認できる。

 車載レーダーを例に取ってみよう。基調講演で紹介したドイツAudiの事例が分かりやすいだろう。Audiは規制当局に提出するデータを採るために、さまざまな条件のもと、1000万kmの走行記録が必要だ。Audiは当社のPXIボードをシステム開発ソフトウェア「LabVIEW」で組み合わせ、RFシミュレータを作り上げた。そうして、さまざまに異なる実走行データをシミュレートし、「1000万仮想km」の走行データを得た。

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