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「SEMICON West 2016」、7nm世代以降のリソグラフィ技術(Samsung編)福田昭のデバイス通信(91)(2/2 ページ)

» 2016年09月30日 09時30分 公開
[福田昭EE Times Japan]
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2018年には量産レベルに達するEUVリソグラフィ

 EUVリソグラフィを導入することの大きな利点は、マスク数の増加を抑えることにある。ArF液浸リソグラフィの延長では、7nm世代におけるマスク数は80枚を超えてしまう。さらには微細化をあまり進められない(スケーリングファクタの大幅な低下)。

 ここでEUVリソグラフィを導入すると、マスク数は10nm世代とほぼ同じ60枚にとどまるとともに、スケーリングファクタは10nm世代とあまり変わらずに済む。

 EUVリソグラフィ開発の最も大きな課題は光源の高出力化、すなわちスループットの向上である。光源の出力は2014年から2016年にかけて大幅に高まってきた。Samsungは、2018年にはスループットが量産レベルに達すると見る。2018年時点で光源の出力は250Wを超え、スループットは1日当たり1500枚になると予測する。

EUVリソグラフィの利点と開発(スループット)の見通し。Samsung Semiconductorの講演スライドから(クリックで拡大)

簡単ではない、10nm世代から7nm世代への移行

 ただし、EUVリソグラフィ技術が完成していたとしても、10nm世代から7nm世代への移行は簡単ではない。CPP(Contacted Poly Pitch)と金属配線ピッチ(Mxピッチ)を縮小することは、トランジスタの性能を低下させかねない。コンタクト抵抗が上昇し、金属配線の抵抗(単位長当たり)が急速に増加し、ゲートとコンタクトの容量が増大し、短チャンネル効果の抑制が必要になり、SiGe拡散層の応力による損失を補償しなければならない。

10nm世代から7nm世代の移行に伴う技術的な課題。Samsung Semiconductorの講演スライドから(クリックで拡大)

(次回に続く)

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