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圧倒的な車向けシェアと技術でメガ商社に挑む豊通エレとトーメンエレ経営統合(1/2 ページ)

豊田通商は、傘下のエレクトロニクス商社2社(豊通エレクトロニクス/トーメンエレクトロニクス)を2017年4月に経営統合することに関して2016年9月29日、都内で記者会見を行い、統合新会社の社名を「ネクスティ エレクトロニクス」とすると発表した。

» 2016年09月30日 10時00分 公開
[竹本達哉EE Times Japan]

新社名はネクスティ エレクトロニクス

 2017年4月1日付で経営統合する豊通エレクトロニクス(以下、豊通エレ)とトーメンエレクトロニクス(以下、トーメンエレ)の2社と、両社の親会社である豊田通商は2016年9月29日、都内で統合に関する記者説明会を開催し、統合新会社の社名を「ネクスティ エレクトロニクス」にすることなどを明らかにした。

 両社は、豊田通商の完全子会社であり、売上高約1兆円(2015年度実績)を超える豊田通商エレクトロニクス部門の中核会社だ。共に、半導体、電子部品、組み込みソフトウェアを中心に扱うエレクトロニクス商社で、2015年度実績売上高は、豊通エレが約2400億円(豊田通商海外子会社デバイス部門売り上げ含む)、トーメンエレが2200億円となっている。

豊田通商における新会社「ネクスティ エレクトロニクス」の位置付け。豊田通商は、今回統合する2社以外に、2社のエレクトロニクス商社(トーメンデバイス、エレマテック)を傘下に持つが「扱う商材の性質が統合新会社とは異なり、統合新会社に合流させる予定などはない」(豊田通商専務取締役 松平惣一郎氏)という (クリックで拡大) 出典:豊田通商
豊田通商専務取締役兼化学品・エレクトロニクス本部長 松平惣一郎氏 (クリックで拡大)

 これまで、豊通エレは車載向け専門の商社として、トーメンエレは車載以外にも民生機器、産業機器などの幅広い用途向けにビジネスを展開する商社として、事業を行ってきた。

 今回、経営統合を決めた理由の1つとして、豊田通商専務取締役で化学品・エレクトロニクス本部長を務める松平惣一郎氏は「(仕入れ先である)半導体メーカーのM&Aが活発に行われ、メーカーが巨大化している。それに伴い半導体商社も苦しい立場に置かれつつあり、事業規模が小さかったり、機能が少なかったりする商社は、淘汰(とうた)されることになる」と事業規模拡大を挙げる。

「国内最大」「世界4位」「自動車向け圧倒的な世界首位」

 統合新会社の売り上げ規模は4600億円に達し、現在、エレクトロニクス商社で最大の売り上げ規模を誇るマクニカ・富士エレホールディングスを上回り、国内業界トップとなる見込み。また、世界市場においても、Avnet、Arrow、WPGに次ぐ、4位グループに相当する規模に達する見込みだ。

 また新会社の自動車向け売上高については、3000億円となる見込みで、豊田通商では「2位以下に圧倒的な差をつけた世界1位」になるという。新会社の社長に就任する豊通エレ社長の青木厚氏は、「この圧倒的な自動車向けビジネス規模になることで得られる商社としての機能強化が、統合で見込んでいる大きな相乗効果の1つだ」とした。

統合新会社の業界でのポジション (クリックで拡大) 出典:豊田通商
統合新会社の売り上げ構成比率(単位:億円) (クリックで拡大) 出典:豊田通商

 新会社は、売り上げの約65%を自動車向けで占めることになるが、「(自動車の)次の柱を育てていく」(青木氏)と明言し、自動車以外の用途市場向け事業の強化も図っていく方針だ。

 新会社発足後の売り上げ目標などは「現在、策定中」(青木氏)として明らかにしなかったが、「自動運転や電気自動車化の流れがあり、それなりの規模感で成長するだろう」とした。

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