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» 2016年10月17日 15時30分 UPDATE

車載レーダーで高速走行と周辺監視に対応:200kmを検知、ミリ波レーダー向けCMOS回路

富士通研究所は、周波数の変調速度を高めたCMOSミリ波信号源回路を開発した。「76G〜81GHzの広帯域で世界最速の周波数変換を実現した」(同社)ことで、車載レーダー用途では、相対速度が時速200kmでも、車両や歩行者などのターゲットを検知することが可能になる。

[馬本隆綱,EE Times Japan]

時間補完型パルスカウンター、高温環境下でも正確に動作

 富士通研究所は2016年10月、周波数の変調速度を高めたCMOSミリ波信号源回路を開発したと発表した。「76G〜81GHzの広帯域で世界最速の周波数変換を実現した」(同社)ことで、車載レーダーなどに応用した場合、相対速度が時速200kmでも車両や歩行者などのターゲットを検知することができるという。

 ミリ波レーダーは、先進運転支援システム(Advanced Driver Assistance Systems:ADAS)を実現する技術の1つとして注目されている。同システムでは、前後方監視に用いる77GHz帯に加えて、周辺監視用途として79GHz帯の周波数帯が利用されているという。

 ところが、ミリ波レーダーで現在主流となっている、ミリ波信号の周波数の速度を周期的に変調させるFMCW方式(Frequency Modulated Continuous Wave)は、歩行者と自転車など、速度の異なるターゲットが近づくと、高速走行の場合どちらか片方を見落とす可能性があるという。従来のCMOS信号源回路は、周囲温度の上昇によって変調速度が制限されるためで、検知できる相対速度は最大で時速50km程度となっていた。

周辺監視と前後方監視のイメージ図 出典:富士通研究所

 同社は今回、周囲の温度が上昇すると、ミリ波信号のパルスカウント動作に影響を及ぼす可能性のある信号源回路のブロックを特定した。その上で、温度変化による遅延を補正する機能を特定したブロックに搭載し、周囲温度が高温でも正確に動作する時間補完型パルスカウンターを新たに開発した。この結果、150℃の高温環境下でも、パルスを読み込むタイミングを整えることができるという。試作した回路は、ミリ波信号を80GHzにおいて1マイクロ秒当たり2GHzの速度で周波数変調することが可能となり、検知相対速度として最大時速200kmを実現した。

周囲温度の上昇で生じるパルス読み込みのタイミングエラー例 出典:富士通研究所

 CMOSミリ波信号源回路とは別に、変調されたミリ波信号の位相を1°以内の精度で計測・制御して、ミリ波信号のビームを任意の方向へ照射することができる4チャネルCMOS送信回路も併せて開発した。CMOSミリ波信号源回路と組み合わせることで、例えば10m圏内を5cm間隔で監視するなど、レーダーの周辺を細かくスキャンする周辺監視機能を実現することが可能になるという。

左がミリ波信号源回路を集積したミリ波CMOSチップ。右は4チャネル送信回路を集積したチップの写真 出典:富士通研究所

 同社は今後、高機能で高い演算能力を持つプロセッサなどを集積した、ミリ波CMOSレーダーチップの開発を進め、2020年以降の実用化を目指す計画である。

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