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» 2016年10月20日 11時30分 UPDATE

IoTデバイスの開発秘話(4):グンゼ、着るウェアラブル普及の鍵は「心地よさ」 (1/2)

“着るウェアラブル”に、親しみのある人はいるだろうか。展示会で見ることは多くなったが、世の中に普及するのか疑問が残る。そこで、衣料型ウェアラブルシステムを展開するグンゼに話を聞いた。

[庄司智昭,EE Times Japan]

肩甲骨の伸び縮みで姿勢を検知

グンゼの新規事業推進室でチーフを務める佐藤彰洋氏

 “着るウェアラブル”に、親しみのある人はいるだろうか。ウェアラブルと聞くと、時計やメガネをイメージする人が多いかもしれない。しかし、2016年1月に開催された「第2回 ウェアラブルEXPO」では、着るウェアラブルに関する多くの展示を目の当たりにした。

 正直なところ、着るウェアラブルで日々の健康管理を行う光景が、イメージできなかったのを覚えている。技術的に普及レベルに達していないだけなのかもしれないが、“完成型”に至っても“着るウェアラブル”が世の中に浸透すると確信が持てない。そこで、ウェアラブルEXPOでNECと共同開発を行う衣料型ウェアラブルシステムを展示したグンゼに、インタビューを行った。


 インナー・肌着大手のグンゼが開発したのは、導電性繊維をインナーに加工し、姿勢センサーや配線として活用したウェアラブルシステムである。姿勢の状態、消費カロリー、心拍などの生体情報を計測できる。同社の新規事業推進室でチーフを務める佐藤彰洋氏によると、背中に配置したセンサーはニット素材で伸縮するため、肩甲骨の伸び縮みを検知することで、姿勢の状態を把握しているという。洗濯も可能となっている。

導電性繊維をインナーに加工し、姿勢センサーや配線を活用。赤い枠で囲んだウェアラブル端末やデータを蓄積するクラウドサービスはNECが開発を行っている (クリックで拡大)

 胸の下に装着するウェアラブル端末は、加速度センサーとBluetooth Low Energy (BLE)を用いた通信機能を搭載。センサーから取得したデータは、BLEを通じてスマート端末に自動送信され、専用アプリで自身の生体情報を確認できる。ウェアラブル端末とデータを蓄積、分析するクラウドサービスは、NECが開発している。

ウェアラブルシステムの構成 (クリックで拡大) 出典:グンゼ

 同ウェアラブルシステムを使って姿勢改善や腰痛、肩こりの予防に役立つアドバイスの提供を行うため、現在、子会社のグンゼスポーツが実証実験を行っている。他にも従業員管理や未病対策システムでの応用を検討しており、2017年春の製品化を目指す。

今は“第4の創業期”

 グンゼは1896年に製糸会社として創業し、肌着の製造をはじめ、1962年にプラスチックフィルム、1985年には電子部品事業など、事業の多角化、転換を進めてきた。

 同社広報IR室の小池誠氏は、「現在の売り上げをけん引する機能性材料は、狙っている産業がニッチな部分もあり、過去の中期経営計画では期待した更なる成長が得られなかった。現在、社長の児玉和も“第4の創業期”と掲げるなど、危機意識を抱いている。現在の中期経営計画CAN20(2014〜2020年度)では、QOL(Quality Of Life)向上につながる新規事業ということで、2つのプロジェクトを開始した」と語る。

「エジソンプロジェクト」の1つとして2015年5月にスタートした、グンゼが保有している技術を紹介するWebサイト「GUNZE SOLUTION PROJECT」 (クリックで拡大) 出典:グンゼ

 同社では、「エジソンプロジェクト」「ナイチンゲールプロジェクト」を進めている。エジソンプロジェクトは、繊維加工などのコア技術と新分野を組み合わせた事業創出を目指す。ナイチンゲールプロジェクトは、手術後に着るインナーなど医療分野での事業創出を目指すという。ウェアラブルシステムは、エジソンプロジェクトの1つだ。

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