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Intel、IoTを巡ってARMと対決車載、産機向けSoC発表(1/3 ページ)

Intelがこのほど、自動車、産業機器市場向けのリアルタイム性能を備えた新SoCを発表したことで、ARMとのIoT(モノのインターネット)の市場を巡る戦いが激化しつつある。

» 2016年10月31日 10時30分 公開
[Rick MerrittEE Times]

マイコン市場17位のIntelだが……

 IntelとARMが、マイクロプロセッサアーキテクチャを構築することを競い合うように発表したことで、モノのインターネット(IoT)を巡る戦いが激化した。

 Intelは、同社製品では初めて自動車、産業機器市場向けのリアルタイム性能を備えたAtom SoCを発表した。一方のARMは、Intelの本社から2マイル足らずのところで年次の開発者会議を開催し、ローエンドのマイコン(MCU)用コアに安全性をもたらそうとしていることを明らかにした。

 ARMが独自のMCU用コア「Cortex-M」を武器に、新たに起こりつつあるエンドノードを巡る戦いをリードしているのは明らかだ。一方、世界最大の半導体企業であるIntelには比較的新しいチップ「Quark x86」があるものの、市場調査会社のIHSによると、マイコンベンダーのランキングでは17位となっており、パナソニックやシャープと変わららない位置にあるという。

 IHSでMCU分野の追跡を担当するTom Hackenberg氏は、「ルネサス エレクトロニクス、NXP Semiconductors、Microchipは、MCU分野ではIntelを桁違いにリードしている」と述べた。

 1米ドル以下で売られることもあるMCUチップは、IoTでは極めて重要な役割を果たす。だが、そのようなチップの市場はIntelにとって新たな領域といえる。Hackenberg氏は「IoTを新たな分野にしている要因として、以前はインターネットにアクセスできなかったエンドノードが進歩し、インテリジェンスを求めるアプリケーションになったことが挙げられる」と述べた。

 まだ公に議論されていないが、Intelにはある計画があり、既存のQuarkチップは最初の一歩にすぎないようだ。同社はQuarkチップの他に、6種類ものx86マイクロコントローラーを開発しているといわれている。

2016年8月の「Hot Chips 28」において示されたQuarkシリーズ「D2000」の資料 出典:Intel

 Hackenberg氏は「Intelは数年前、ARMベースのXscaleチップで組み込みシステム分野に深く入り込もうとしていたが、あまりうまくいかなかった。現在では、x86を再設計することでそうしたことを実現できると考えている」と述べた。

 IntelがMCU分野のトップ企業と競い合うには、下記の特性、機能を備えたQuark x86チップが必要となる。

  • Cortex-M0搭載チップに匹敵する、1mWの消費電力レベル
  • メモリ、I/Oの豊富なポートフォリオと、ARMのパートナーとの連携性を備えていること
  • ターゲットを特定の垂直市場に置くこと(例えば、複数のCANバス搭載自動車用MCU)
  • x86のプログラミングツールやパートナーをMCUの世界に引き込むこと
  • ハードウェアの「Root of Trust(信頼性を実現する根幹となる部分)」を、ARMが新たなTrustZone CryptoCellで実現したように、簡単にすること
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