特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2016年11月15日 12時30分 UPDATE

IoTデバイスの開発秘話(5):「なくす」をなくす、日本ゆえに生まれたIoTタグ (1/3)

落し物を追跡するIoTタグ「MAMORIO」を知っているだろうか。MAMORIOとは、Bluetooth Low Energy対応のビーコンを活用するタグであり、紛失したくない物に取り付ける。スマートフォンとペアリングすることで、置き忘れ防止のアラートがスマホに通知されたり、紛失時には、どこに置き忘れたかを地図で表示できたりする。最大の特長は、日本発だからできる、ユーザー同士で協力して紛失物を探す機能といえるだろう。

[庄司智昭,EE Times Japan]

「なくすを、なくす」IoTデバイス

 財布やスマートフォンをどこかに置き忘れたことはあるだろうか。私はある。

 2015年10月7〜10日に幕張メッセで開催されたエレクトロニクス/ITに関する総合展示会「CEATEC JAPAN 2015」(2016年からは、CPS/IoT展)の初日のことである。幕張メッセからオフィスに戻り仕事を終えた後、家に帰宅した私を待ち受けていたのは、鍵の入った財布をデスクの引き出しに入れっぱなしという現実だった。

 その後、私はスマートフォンのアプリ「モバイルSuica」でチャージを行い、Suicaで支払えるタクシーに乗り、Suicaで決済できる漫画喫茶で1日を終えることになる。

海浜幕張駅周辺のイメージ

 大したことないだろうと思う方も多いかもしれない。事実、財布も紛失したわけではなく、しっかりとデスクの中に入っていた。しかし、次の日に憂鬱な気持ちを抱えたまま、京葉線の海浜幕張駅に向かう私を横目に、舞浜駅で降りて東京ディズニーランド/ディズニーシーに向かう幸せそうな人々を見送るのはつらかった。

 こんな思いをするのは、もう嫌だ。あれから1年がたち、図らずもCEATEC JAPAN 2016(2016年10月4〜7日)で見つけたのは、落し物を追跡するIoTタグ「MAMORIO」である。これは欲しい。とにかく欲しい。詳しく話を聞いてみたい。

 そこで、MAMORIOの代表取締役である増木大己氏と、最高執行責任者(COO)である泉水亮介氏に後日、サービスの詳細を聞くためにインタビューをさせてもらった。

紛失防止が目的のBLE製品で「世界最小」

 MAMORIOは、Bluetooth Low Energy(BLE)対応のビーコンを活用するタグだ。このタグを、財布やクルマの鍵など、紛失したくない物に取り付ける。スマートフォン(スマホ)とペアリングすると、置き忘れ防止のアラートがスマホに通知されたり、紛失時には、どこに置き忘れたかを地図で表示できたりする。サイズは35×19×3.4mmと小型で、市販されている紛失防止を目的としたBLE製品として「世界最小」(同社)という。

 泉水氏によると、利用までの流れには2ステップしかない。専用のスマホアプリをダウンロードしてユーザー登録を行い、登録したいタグをスマホ画面の上に置きペアリングをするだけで、基本的な準備は完了になる。

落し物を追跡するIoTタグ「MAMORIO」 (クリックで拡大) 提供:MAMORIO

 MAMORIOはビーコン端末として常に電波を発信し、本体を取り付けた物を置き忘れた場合、ユーザーにプッシュ通知が送られる仕組みだ。電波が届く距離は最大約30mであり、「人工知能も活用してユーザーの行動を日々学習し、最適なタイミングでプッシュ通知を行う。例えば、トイレに行った場合など短時間の離席では、タグとの通信が途切れた場合にもプッシュ通知を出さないなどと判断する」(泉水氏)と語る。

 また、スマホに搭載されているGPS機能を用いて、紛失場所の地図を表示する機能も付いており、プッシュ通知に気付かなくても、紛失物がどこにあるか特定することが可能だ。バッテリーは、リチウムイオン電池で寿命は約1年間となっている。1年間を経過した後には、交換プログラムが実施されているようだ。

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