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» 2016年11月22日 18時48分 UPDATE

機器と研究施設は寄付:ロームなど、SiC応用の次世代ガン治療器を開発へ

ロームは2016年11月22日、京都府立医科大学、福島SiC応用技研と次世代パワー半導体として注目されるSiCを活用したBNCTに必要な治療機器の研究開発を共同で実施すると発表した。

[庄司智昭,EE Times Japan]

中性子線による放射線療法

BNCTの概要 (クリックで拡大) 出典:ローム

 ロームは2016年11月22日、京都府立医科大学、福島SiC応用技研と次世代パワー半導体として注目されるSiC(シリコンカーバイト)を活用したBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)に必要な治療機器の研究開発を共同で実施すると発表した。

 BNCTとは中性子線による放射線療法で、ホウ素薬剤をがん細胞に取り込ませ、中性子とホウ素薬剤との反応を利用して正常な細胞にあまり損傷を与えず、がん細胞のみを選択的に破壊する治療法である。動く臓器や広く転移したがんでも治療ができる利点を持つ。しかし、従来は、治療対象範囲が体表面から7cm以内の表層部分に限られており、その利点を全面的に活用するまでには至っていなかったという。

 今回、研究開発を行う「SiC-BNCT」ではロームのSiCデバイスを活用し、他のBNCTを比較して大幅な小型化を目指す。大幅な小型化と安定したコントロールが実現すれば、中性子線の多門照射が可能となるため、治療対象を体表面から25cm程度まで拡大できる。がん細胞にのみ集積するホウ素薬剤も開発し、さらに安全な治療を目指す。

 治療で痛みや熱を感じることはなく、原則1回の照射で完了。ホウ素化合物の反応を利用してがん細胞を破壊するため、正常細胞とがん細胞が混在していても効果を発揮する。

 特に悪性黒色腫、脳腫瘍、頭頸がん、中皮腫、膵臓がん、腹膜転移などに有効だという。今回は、肝臓や胆のう、膵臓などを対象とした治療の実用化を目指すとした。

機器と研究施設をロームが寄付

 ロームは、トレンチゲート型SiC-MOSFETの技術提供を行う他、治療機器の開発について技術支援を行う。完成した治療機器と、京都府立医科大学の敷地内に建設する研究施設「ローム記念BNCT研究センター(仮称)」は、京都府に寄付する予定だ。

「SiC-BNCT」の中性子線照射装置イメージ (クリックで拡大) 出典:ローム

 なお、中性子照射装置の実証機の開発は、福島SiC応用技研が震災復興助成制度を利用して実施している。科学技術振興機構の研究成果展開事業「スーパークラスタープログラム」では、SiC半導体のパワー回路実装技術の開発支援を行っているという。

 ロームは、リリース上で「SiC-BNCTとローム記念BNCT研究センターが完成し、臨床応用ができると、陽子線治療と中性子線治療を同一敷地内で一体的に行うことが可能になり、2つの世界トップレベルのがん治療が提供できるようになる」とコメントした。

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