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» 2016年12月01日 11時30分 UPDATE

中国政府との関係が原因?:投資ファンドによるLattice買収に暗雲(前編) (1/2)

2016年11月、米国に拠点を置く未公開株式投資ファンドCanyon Bridge Capital Partnersが、米国のFPGAメーカーLattice Semiconductor(ラティス・セミコンダクター)を13億米ドルで買収すると発表した。だがこれに、米国の規制当局が「待った」をかけている。

[Junko Yoshida,EE Times]

米規制当局の懸念

 中国の中央政府との関係を持つ企業買収ファンドと、米国企業との組み合わせに対し、国家機密を考慮する規制当局が疑念を抱いて警鐘を鳴らす。理論的には、米国の技術メーカーが関与する全ての合併買収提案が中止になる可能性もある。

Lattice Semiconductor

 このシナリオは、Canyon Bridge Capital Partners(以下、Canyon Bridge)が2016年11月初めに、米国に拠点を置く半導体メーカーであるLattice Semiconductorを13億米ドルで買収することに合意したとする案件にも当てはまる(関連記事:Lattice、投資ファンドが13億ドルで買収へ)。

 Reuters(ロイター通信)は2016年11月28日に、「中国の企業登記情報から、Canyon Bridgeが、中国の中央政府から資金提供を受けていることや、同政府が手掛ける宇宙開発事業にも間接的に関与していることが明らかになった」と報じている(関連リンク)。また、中国国営企業登録情報からの数十件の申請について調査したところ、中国の最高国家行政機関である国務院が、Canyon Bridgeに資金を提供していることが明らかになったという。

 もしこれが事実であれば、Canyon BridgeによるLattice Semiconductorの買収が、暗礁に乗り上げるかもしれない。外国投資委員会(CFIUS:Committee on Foreign Investment in the U.S.)による承認を受けられない可能性があるためだ。たとえ承認されたとしても、Lattice Semiconductorが今回の合併買収を発表した時に、2017年初頭には買収取引を完了できるとしていた予定が、遅れる可能性もある。

 CFIUSは、米国企業や資産に対する海外からの全ての投資について、国の安全に影響がないかどうかを調査する権限を持つ連邦機関だ。

 エレクトロニクス業界の多くの幹部たちにとっては、2016年初頭のWestern Digitalの案件が記憶に新しいのではないだろうか。中国半導体メーカーTsinghua Unigroupの関連会社であるUnisplendor(紫光集団)が、Western Digitalの株式を一部取得すると発表したが、CFIUSがこの取引について調査すると発表したことを受け、出資を取りやめる結果となった。

Canyon Bridgeは米国の投資ファンドなのか

Canyon Bridge

 Canyon BridgeとLattice Semiconductorのケースの場合、CFIUSが重要視する問題点が2つある。1つ目は、米国カリフォルニア州パロアルトに拠点を置く企業買収ファンドCanyon Bridgeを、中国企業と見なすべきなのかどうかという点だ。そして2つ目は、Lattice Semiconductorが開発した2つの用途向けのアプリケーション関連技術を、売却することになるのかという点だ。

 Lattice Semiconductorが2016年11月21日に、米国の証券取引委員会(SEC:Securities and Exchange Commission)に提出した報告書(Form Schedule 14A)によると、Canyon Bridgeは最近、米国を拠点とする未公開株式(プライベート・エクイティ)投資ファンドを設立したという。現在のところ、リミテッドパートナーは1社だけだのようだ。そのパートナー企業は、中国の大手投資ファンドであるChina Venture Capital Fundの完全子会社だという。

 さらにロイター通信によると、China Venture Capital Fundは、China Reform Holdingsの一部門であることが明らかになったという。

 ロイター通信は、「2016年6月16日付の中国の法人登記によると、中国国務院が北京に拠点を置くChina Reform Holdingsの唯一の株主である」と報じている。

 China Reform HoldingsのWebサイトによると、中国政府は国有資産監督管理委員会(SASAC:State-owned Assets Supervision and Administration Commission)を通じて同社に投資しているという。なお、SASACは、中国の非金融国有企業を監督・管理する国務院直属の特別組織である。

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