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» 2016年12月06日 10時30分 UPDATE

生活習慣病の早期発見などに応用へ:グラフェンを用いた新原理ガスセンサー 「世界初」

富士通研究所は2016年12月5日、グラフェンを利用した新原理のガスセンサーを「世界で初めて」開発したと発表した。従来のセンサーと比較して、10倍以上の感度を実現したという。

[庄司智昭,EE Times Japan]

ガス成分を体温計のように分析する装置の実現へ

 富士通研究所は2016年12月5日、グラフェンを利用した新原理のガスセンサーを「世界で初めて」開発したと発表した。同センサーは、通常のシリコントランジスタのゲート部分を原子一層分の厚みのグラフェンで置き換えた構造を持つ。ガス分子がグラフェンに吸着すると、グラフェンの仕事関数が変化し、シリコントランジスタのスイッチング特性が変化する原理を利用することで、ガスを検出する仕組みだ。

 今回開発したセンサーは、窒素中におけるNH3は数十ppb(parts per billion)、NO2では1ppbの感度を実現。NO2に対する感度では、従来のグラフェンを用いた抵抗変化型センサーや市販の電気化学式センサーと比較して、10倍以上の感度となっている。

 また、大気成分の分析や呼気分析などを想定したガスの中では、NH3、NO2のみに反応し、特定のガスだけを検出できることを実験で確認したという。

グラフェンゲートセンサーの模式図とセンサーの走査電子顕微鏡像 出典:富士通研究所

 大気汚染の検知や人の呼気中に含まれるガス検知のため、特定のガス成分を高精度に測定できるガスセンサーが求められている。従来は専用の装置を使えば、高感度に各種ガスを検出できるが、装置が大型、測定に時間がかかってしまうなどの課題がある。

 携帯可能でリアルタイム測定が可能なものには、半導体式ガスセンサーなどが存在している。しかし、一般的には感度がppm単位で、特定のガス成分を検出するには性能が不十分とする。グラフェンを利用したガスセンサーとしては、これまでガス吸着時のグラフェンの抵抗値の変化を検出するセンサーが提案されているが、1ppmの濃度のガスに対して抵抗変化率は数パーセント程度であり、実用化には至っていないのが現状だ。

 今回発表したセンサーは、検知部分が数百μmと小型だが、将来的には1μm以下にすることが可能。また、検知が化学反応によらないため、熱を加えるなどして吸着したガスが離れると元の状態に戻るという特徴も持っている。同センサーを使うことで、大気汚染の指標として40〜60ppbの環境基準があるNO2について、「場所を選ばずに、リアルタイムで高感度に測定する小型装置の実現が可能になる」(富士通研究所)と語る。

(a)グラフェンゲートセンサーの出力の二酸化窒素濃度依存性/(b)アンモニア濃度依存性/(c)各種ガスに対する応答 (クリックで拡大) 出典:富士通研究所

 今後は、原理実証を行ったグラフェンゲートセンサーで、実環境中での特性検証や耐久性調査などを行い、環境センサーとして実用化を目指す。グラフェンと他の分子などを組み合わせることで、二酸化窒素やアンモニア以外のガス検知も目指すという。

 さらに、2016年4月に発表したNH3を高感度に測定できるセンサーと組み合わせることによって、生活習慣病の早期発見を目指した呼気中のガス成分の分析や、携帯可能で高感度な「においセンサー」に適用していく予定。これにより、呼気中のガス成分を体温計のように手軽に分析する装置などの実現が期待されるとした。

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