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“IoT熱”は一段落? 本命はAIか「CES 2017」の注目株を探る(1/2 ページ)

「CES 2017」の開催まで約2週間となった。世界最大規模のコンシューマー・エレクトロニクスの展示会における、2017年の注目株は何だろうか。

» 2016年12月21日 09時30分 公開
[Junko YoshidaEE Times]

IoTは注目株ではない?

 2017年1月5〜8日に米国のネバダ州ラスベガスで「CES 2017」が開催される。市場調査会社や業界アナリストにCES 2017の注目株についてと尋ねると、ほぼ確実に挙げられるのは、AI(人工知能)とAR(拡張現実)、VR(仮想現実)、そして自動車だ。

 IoT(モノのインターネット)とウェアラブル、超高精細テレビ(UHD TV)はもはや、注目株には入っていない。

 AI、AR、VRはCES 2017で注目されることで、間違いなくハイプサイクルのピークを迎えるだろう。2017年には、こうした技術が盛り上がりを見せる一方で、透明性や安全性、AIアルゴリズムの正確さについて、アプリケーション開発者やシステム設計者、見識のある消費者から厳しい質問が寄せられると予想される。

セキュリティなど、問題点の露呈が原因か

 IoTやウェアラブル、UHD TVは今、さまざまな問題点が露呈し、一時の熱が冷めた状態になっている。安定した市場を確立するには、根本的な解決やマーケティングの方向性を大きく転換することが求められる。

 Accentureの通信/メディア/テクノロジーグループでマネジングディレクターを務めるJohn Curran氏は、「Internet of Thigs、つまりIoTで最も懸念されているのは、“Insecurity of Things(モノの非安全性)”だ」と指摘する。同氏は、「IoT市場は、安全性に対する課題が解消されなければ、さらなる発展は望めない」と述べている。

米国土安全保障省の報告書

 Curran氏は、2002年に設立された米国土安全保障省(Department of Homeland Security)の報告書「Strategic Principles for Security the Internet of Thing(IoTのセキュリティを確保するための戦略的指針)」から次の一節を引用した。

 「今こそ、IoTのセキュリティを構築すべきときだ。IoTの脆弱性の多くは、認証されたセキュリティ対策を実施することで緩和できる。だが、基本的なセキュリティ対策さえも講じられていない製品があまりにも多すぎる。開発者は、製品が安全でなくてもそのコストを負担する必要はないため、製品に適切なセキュリティ対策を講じようという気持ちになりにくい。IoTにメリットがあることは明白だが、セキュリティが革新的技術に追い付いていないのが現実だ」

 米国のDigital Tech Consulting(DTC)でプレジデントを務めるMyra Moore氏は、「個人データの所有権など、プライバシーが大きな問題になっている」と指摘している。同氏は、「プライバシーの問題は、GoogleやFacebook、Microsoftなどビッグデータを扱う企業が以前からしっかりとかじを取って対処してきたわけではない。セキュリティやアクセス権限の管理機能の強化に向けて、今も暗号化技術の開発が続けられている」と述べている。

“ヒアラブルデバイス”が盛り上がる

 ウェアラブル機器に関してはどうだろうか。注目株ではないにしろ、CES 2017では、間違いなくウェアブル機器の新たな波が押し寄せるだろう。注目すべきは“ヒアラブルデバイス”、つまり耳に装着するデバイスだ。

 米国のFeibusTechで主席アナリストを務めるMike Feibus氏は最近、USA TODAY紙で、「ウェアラブル機器メーカーが腕時計型デバイスの次に世に送り出そうとしているのは、ヒアラブルデバイスだ。ヒアラブルデバイスは100億米ドル市場に成長すると期待される」と述べている。

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