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» 2016年12月26日 13時30分 UPDATE

「CES 2017」の注目株を探る:これまでの伝統破り、自動車が主役に (2/3)

[Junko Yoshida,EE Times]

機械学習は自動運転の“アキレス腱”?

 自動運転車の実現を追求する自動車メーカーの取り組みは、ここ18カ月の間で加速する一方だが、業界や市場では2017年に、機械学習のテスト方法をめぐる問題への注力が進むだろう。セキュリティ専門家たちは、「機械学習は、自動運転車のアキレス腱(けん)だ」と警告する。

 米カーネギーメロン大学(CMU:Carnegie Mellon University)の教授であるPhilip Koopman氏は、EE Timesのインタビューに応じ、「機械学習ベースのシステムを、既存の安全基準に照らし合わせることは非常に難しい。(機械学習の)トレーニングデータセットは、従来のソフトウェア要件および設計には適合しないからだ」と述べている。

 Koopman氏は、「高性能自動運転車に関する連邦政府政策の中で、機械学習が新しい独自技術であることを明示すべきだ。このように認識すれば、規制当局は安全評価を行う際に、機械学習についてもっと的確な質問をすることができる」との見解を示している。

 また同氏は、「私は、機械学習のトレーニングデータセットのテスト方法について述べているのではなく、米運輸省(DoT:Department of Transportation)が、自動車メーカーや、自動運転車向けプラットフォームを手掛けるベンダー各社に対して、機械学習ベースの自動運転車の安全性を実証する文書の提出を要求すべきであると提案しているのだ」と述べる。

メルセデス・ベンツの自動運転車「F015 Luxury in Motion」

 自動車は、道路やドライバーを監視するコンピュータビジョン技術に向けた、最適な試験の場だといえる。ティア1メーカーや自動車メーカーは、ハンズフリー運転が推進されていることを受け、さまざまな音声コントロール、ジェスチャーコントロール機能や自然言語処理の実用化に向けた取り組みを強化している。さらに、ビジョンやレーダー、ライダー(レーザーレーダー)などのさまざまなセンサー技術の進展も加速させている。

 自動車にとってAIは、決して軽く扱うことができない機能である。データセンターで実行されるディープラーニング向けのトレーニングと、自動車内部で行われる高度な推論とを組み合わせる必要があるためだ。

 伝統的に、CESでは自動車が注目の的になることはなかった。しかしここ数年の間に、自動車は、機械学習などの最先端技術向けとして最も注目を集めるプラットフォームの1つになった。今後、こうした取り組みの成果が、民生機器にも浸透していくと期待されている。

 AccentureのCurran氏は、「今後、さらなる高性能と高信頼性を実現したインテリジェントなアシスタント機能に関するニュースが、続々と発表されるだろう。人間に質問したり提案したりするなど、言葉でのやりとりが可能な民生機器技術の実現が期待される」と述べている。

 Curran氏は、コンピュータ知能が今のところ、まだ人間の知能レベルには達していないことを認めている。今後、AIを搭載したさまざまな製品が登場し、消費者がその対応に苦労するようになってきた時、ベンダー各社は、製品の不完全さを不可解なアルゴリズムの落ち度にして、AIの不可思議さを隠し通すのではないだろうか。

 民生機器メーカーは過去数十年の間、完成品に使う部品やコンポーネントを、自社システムのビルディングブロックとして検証してきた。こうしたメーカーは今、“アルゴリズムがビルディングブロックの中心に据えられている”という新しい世界に勇敢にも足を踏み入れている。そして多くの場合、アルゴリズムの開発者たちは、(そのアルゴリズムが)どう学習していくのか、どう機能するのか、どう不具合が発生していくのか、分からずにいる。

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