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» 2016年12月28日 09時30分 UPDATE

Over the AI ―― AIの向こう側に(6):時をかける人工知能 〜たった1つの数値で結果から原因に遡る (10/11)

[江端智一,EE Times Japan]

「江端による視力偽装問題」

 では、ここからは、ベイズ推論における最大の特徴「ベイズ改訂」について、私が独自に編み出した、人間ドックにおいて視力検査装置を欺く「江端偽視力問題」を使って、具体的に説明します……

―― と思ったのですが、今回の私の膨大な初版原稿を手にした担当のMさんの「ひきつった笑顔」が見えたような気がしましたので、ベイズ推論、ベイジアンネットワークについては、これにて「撃ち方やめ」とすることに致します。(興味のある方は、こちらをご覧ください)

(編集担当のつぶやき)ベイジアンネットワークね。来たな、「浮気とパンティ」(ワード原稿12ページ目)。⇒あ、まだあった。「性同一性障害の計算」(原稿19ページ目)⇒え、まだあるし。「人工的な出産技術」(原稿25ページ目)⇒え!まだあるし!!!(原稿30ページ目)⇒……て、やっと「撃ち方やめ」だった!! ※江端様には、契約を締結した際、「原稿2〜3ページで連載しましょう」と前担当者が依頼しております。

 それでは、今回のコラムの内容をまとめてみたいと思います。

【1】前回、合衆国大統領選挙における「選挙人制度」によって、投票比率と著しく乖離した選挙人の数となる(分散と感度)ことを示し、この制度に対する批判を展開しましたが、今回は、この「選挙人制度」が優れているという観点から合衆国大統領選挙を見直すことにしました

【2】読者の皆さんからのアンケートをまとめた結果、合衆国大統領選挙の「選挙人制度」は、(1)多民族、多宗教を前提とする合衆国に都合のよい選挙制度である、(2)国民にリーダーシップを認めさせる仕組みが働いている、(3)米国民の気質が反映されやすいものになっている、という可能性が示唆できることが分かり、「あの国の国民といい感じでマッチングしている」と認められることが分かりました。

 そして、この制度とこの国民性という2つの解決困難な対象の相乗効果によって、今後も人工知能"技術"は、この選挙の予測には太刀打ちできないだろうという江端見解を示しました。

【3】前々回の「ベイズ推定」を受けて、「ベイジアンネットワーク」の特徴(ネットワークとして図示可能である、など)と、実際のツールの使用例を用いて、ベイジアンネットワークの設計と使用のイメージを説明しました。

【4】これまで私が実際にベイジアンネットワークを使った事例(性同一障害の人口数、人工生殖への意識の傾向分析など)を使って、その有効性を示しました。

以上です。

 ベイジアンネットワークが"人工知能技術"なのかどうかは、人によって解釈が違ってくるものになると思います。

 しかし、今回の事例において、ベイジアンネットワークを設計したのは、「この私」であり、"人工知能"が自動的に作ってくれたものではありません

 そして、現時点における"人工知能"と呼ばれているものは、全て、人間が、考えて、考えて、考え抜いて設計した設計図に基づいて動いているだけです。

 私が知り得る限り、「『性に違和感を覚える人』の人数を推定してよ」と言うだけで、それを算出してくれる人工知能など、存在しません。

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