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時をかける人工知能 〜たった1つの数値で結果から原因に遡るOver the AI ―― AIの向こう側に(6)(6/11 ページ)

» 2016年12月28日 09時30分 公開
[江端智一EE Times Japan]

めんどくさくても大事な数値

 次に、その表に分かっている数値をたたき込みます(この数値については、このページの「パンティ問題に必要な情報」を参照してください)

 面倒ですが、この数値だけは真面目に入力する必要があります。

 既にこの段階で「面倒くせーなー」と思っている人がほとんどだと思います(ベイジアンネットワークの挫折は、おおむねCPTの作成から始まる)が、実際にBAYONETを使う場合では、CPTの入力を手動で行うケースなどほとんどありませんので安心してください(私も、CPTを作成したのは、この「パンティ問題」の時だけです)。

 ともあれ、これでベイジアンネットワークの設計は完了です。

「浮気」の可能性が7倍に!?

 では、ここから実際にベイズ推論を行ってみたいと思います。求めるものは「パンティが発見された時に、パートナー(夫)が浮気をしている確率」です。

 推論モニター(CPTではないので混乱しないように)を開いて、「結果のノード」に強制的に値を入力してください。あなたは、ここで初めて「結果から原因に遡る(さかのぼる)計算結果」を目にすることになります。

 パンティを発見されてしまったという事実が確定した(確率100%)ことによって、浮気の確率が、4%から29%以上にアップしていることが分かります(この4%→29%の内容については、前回のこのページの「パンティ問題を数字で実感する」を参照してください)。

 このようにベイジアンネットワークによって、物証(パンティ)を部屋に置いておくという「うかつさ」が、浮気の可能性を7倍以上も引き上げることが、定量的にも確認できることをご理解いただけた(?)と思います。

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