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» 2017年01月16日 10時00分 UPDATE

ADLINKジャパン 社長 服部幹雄氏:2017年、需要は爆発する——インダストリアルIoTに向け独自IPで競争力強化

インダストリアルIoT(モノのインターネット)機器向けのCOM(コンピュータオンモジュール)などで成長を続けるADLINK。新たな応用市場の開拓に取り組み、さらなる事業拡大を見込む。今後は、COM製品など同社が強みとするハードウェア技術に、独自のIPを付加することで、他社との差異化を図るとともに、顧客のニーズにも柔軟に対応できるインダストリアルIoTプラットフォームを提供していく。ADLINKジャパンの社長を務める服部幹雄氏が、今後の事業戦略などについて語った。

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ハード+独自IPで製品を差異化

――ADLINKの概況を教えてください。

服部幹雄氏 ADLINKは、検査・計測、組込み型コンピュータ、オートメーションなどにおける技術革新を目指し、1995年に台湾で創業した。2016年の全社売上高見込みは2億9600万米ドルで、最近の10年間は年平均成長率が約16%と堅調に推移している。日本での業績は、全社ベースを上回る成長率で推移している。世界11の地域に事務所を設置。迅速な判断を行うため、主要拠点では業務の現地化を進めている。

――どのような分野に注力されていますか。

服部氏 インダストリアルIoT(IIoT)に注力している。IIoTについて振り返れば、2015年ごろまでは話題が先行していたと思う。業界の関心は高まってきたものの、大手企業でも具体的な方策は固まっていなかった。ところが、2016年になるとIIoTを具現化するためのプロジェクトがユーザー側で実際に動き始めた。

 IIoTとは、工場のIoT化と一般的にみられているが、当社では対象となる用途をもっと広くとらえている。計測と工場の自動化に加えて、通信システム、病院内外における医療機器とヘルスケア機器、自動車や鉄道などを含むトランスポーテーションと防衛システム、大型娯楽施設などのインフォテインメント機器や自動販売機などがある。さらに言えば、農業や漁業関連、スマートシティ、スマートエネルギーを実現するためのシステムなどにおいても、これからIoT関連需要は加速度的に拡大していくことになろう。

ADLINKが注力していくIIoT市場

 これらの応用分野ではコンピュータ化がベースとなっており、多くの需要が新たに創出される。このような成長領域は当社にとって新たな市場であり、積極的に進出していくことで事業規模も拡大するだろう。2017年以降も、売上高の年平均成長率はこれまでの2倍以上となる可能性が高い。

技術革新に向け積極投資を継続

――高成長を達成するためには技術革新に向けた開発投資も必要となります。

服部氏 売上高に対する研究開発投資の比率は、ここ数年、十数パーセント台を維持してきた。一般的には1桁の数値にとどまっている企業が多いなかで、この比率は当社がテクノロジー・オリエンテッドな会社であることを示す、客観的な数値である。開発部門には、R&Dに300人強、ソフトウェア開発に120人強のエンジニアがそれぞれ在籍する。また、台北本社以外でも、中国・上海、ドイツ・マンハイム、米国・サンノゼにR&D拠点を併設し、現地の技術要求に応えている。

 2015年12月にはPrismTech(プリズムテック)を買収した。これにより、DDS(Data Distribution Service)技術「VORTEX」を提供することが可能となった。DDSとは、遅延時間が極めて小さく、ほぼリアルタイムでデータを送信できる技術である。

 もう1つは、標準化や規格化に対する活動である。当社が独自に開発したさまざまな技術を、次世代の標準規格として提案/策定するなど、コンソーシアム活動においても業界のリーダー的役割を果たしている。

――試験設備なども充実しています。

服部氏 現在、5つのテクノロジーラボを設立している。100GビットイーサネットやPCIe Gen3など高速信号の検証及び測定、機械的衝撃や振動試験、EMI/EMSテスト、Wi-FiやLTEなど無線周波数試験などを自社施設で行うことができる。

IIoTビジネスの拡大に向け国内人員を増強

――日本市場における取り組みや戦略を聞かせてください。

服部氏 日本法人は2007年4月に設立し、主にセールス/サポートを行っている。IoT関連のビジネスは、商談こそ活発だが、具体的に設備導入を始める時期が明確になっていない。しかし、企業や社会システムのIoT化に関与していくことが成長戦略の基軸となっていることに変わりはない。これからIIoT関連で事業規模を拡大していくため、台湾からの技術者駐在も含めて、人員を強化していく予定だ。

――2017年の事業環境はどのようになると、みていますか。

服部氏 確実に言えることは、IoTの認知度は高まっており、これから関連需要が拡大するのは間違いない。それがいつ開花するかということだけだ。その時期として、かなり高い確率で2017年に爆発する可能性があるとみている。商談の案件ベースでは、2016年に顧客からの引き合いが増加した。東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年から逆算しても、2017年には需要が本格化するのではないだろうか。

 日本法人には、セールス/サポート部隊が在籍している。今後は日本においてもデザイン機能を強化して、カスタムベースの提案を増やしていける体制を整えていきたい。

独自IPで差異化する新たなビジネスモデルへ

――ビジネスモデルは変化していますか。

服部氏 当社は、主にIntel製プロセッサをベースとしたCOM製品を中心に、設計・製造を行っている。ハードウェアを開発・製造する企業というイメージが強いが、最近はビジネスモデルを変えている。設計部門では、これまでの標準的なCOM製品を事業基盤としつつ、新たに独自のIPと組み合わせた製品/システム開発にも注力している。

 単純な受託開発ではなく、当社独自のIPを用いて味付けすることにより、ユニークな機能を持つフルカスタム製品/モジュールに仕上げることができる。VORTEXもその有力なIPの1つである。機器メーカー自体も、開発の主体はハードウェアというより、IoTシステムを活用したサービスやビジネス展開に移ってきているという背景もある。こうした中で、当社には、高度なインテグレーションを行う技術力が一段と求められている。技術や市場の深耕などによって、市場や顧客の変化に対応できる体制を整えていく。

――顧客との信頼関係も重要となります。

服部氏 産業機器向けのビジネスを行う上で、重要となる要件の1つが、製品供給の安定性である。例えば、製品変更通知(PCN:Product Change Notification)や製品生産完了通知(EOL:End of Life Notification)の情報に関しては事前に公表し、設計変更の手順を開示したり、代替製品を紹介したりしている。当社はIntelのプレミアパートナー4社のうちの1社でもある。長期に製品を利用してもらうためにも、顧客には迅速かつ正確に情報を提供していく。

エッジからクラウドまで

――IIoT市場に向けて、どのような技術/製品群を提供していきますか。

服部氏 製品群は大別して、「エッジデバイス」「ゲートウェイ&インフラストラクチャー」「クラウドコンピューティング」の3つがある。エッジデバイスではセンサーモジュールやCOMなどのビルディングブロック、パネルコンピュータなどを用意している。

IIoT市場に向けて、ADLINKが提供している製品群

 ゲートウェイ&インフラストラクチャーでは、ゲートウェイ装置やエッジサーバー装置がある。ここにきてゲートウェイ装置の引き合いが急速に高まっている。利用環境がオフィス室内だけでなく、船上や農地など多様化しており、強固な構造で耐環境性にも優れた当社の製品が注目されている。

 クラウドコンピューティングでは、解析やセキュリティ向けのソフトウェアが中心となる。工場設備に設置したセンサー情報から、装置/システムの不具合や故障を事前に予知し、事前に対策を施すことで、故障予測による予防保全を可能とする。具体的には、「SEMA(Smart Embedded Management Agent)」などを提供してきた。

IIoTを実現するIP“DOS技術”

――VORTEXのインパクトも大きいようですね。

服部氏 PrismTechが開発したDDS技術は、データ伝送における遅延時間を極めて小さくし、ほぼリアルタイムでセンサーのデータをサーバに送信することができる。これからIIoTに向けたビジネスを展開し、独自性を打ち出していくうえで、極めて重要な技術の1つとなる。

PrismTechが開発したDDS技術「VORTEX」の運用イメージ図

 PrismTechのVORTEXは、買収される前からフランス空軍や航空機会社などに採用されてきた。日本の大手エレクトロニクス企業ともすでに契約を結んでいる。センサー端末とサーバが同じネットワークにあれば、最大数十マイクロ秒オーダーの信号遅延で、データ伝送を行うことができる。手のひらや指の動きをセンサーで検知して、そのデータをサーバに伝送すれば、ジェスチャーによる機器制御なども可能となる。

――ターゲット市場で特筆する点はありますか。

服部氏 新たな市場で期待している分野がいくつかある。例えば医療機器分野だ。日本においても遠隔医療に対する規制緩和が進む中、2017年は加速度的に需要が広がることになろう。これらのシステムには、当社が強みとする堅牢な構造のタブレット端末が有用である。通信・ネットワーク分野も期待できる市場だ。クラウドサービス向けに、1つのハードウェアプラットフォームで、拡張性に優れたシステムを提供することができる。インフォテインメント市場もこれから期待できる分野である。

 製品別では、COM製品が2017年に大きな転換期を迎えそうだ。これまで、コンピュータ機能をメインとしてきた。IoT化になって、エッジコンピューティングが注目されており、サーバ機能搭載のCOMの本格導入が新たな成長の軸に加わるだろう。

 設計や受託開発サービスも需要が急増している。現行の標準品では過不足ある機能を、カスタマイズすることによって機能の追加やコストダウンを図るといった要求がある。VORTEXのコア技術をさまざまな製品に搭載し、カスタマイズしていくこともその1つである。これによって、製品競争力をかなり高めることができる。

 一方で、プラットフォームを共通化し、さまざまな仕様のCPUモジュールやI/Oモジュールを標準品として用意し、顧客の選択肢を広げていく方法もある。カスタム品であれ標準品であれ、顧客が柔軟に利用できるソリューションをこれからも提供していきたい。


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提供:ADLINKジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2017年2月15日

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