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» 2017年01月16日 10時00分 UPDATE

アナログ・デバイセズ 代表取締役社長 馬渡修氏:製品群の拡充と”More Than Silicon” のソリューション提供でイノベーションの実現に貢献——アナログ・デバイセズ

アナログ・デバイセズは、高性能アナログ製品のラインアップを拡張するのみならず、ソフトウェアなども含めたソリューションの提供を始めている。「デバイスレベルとシステムレベルの両方からアプローチしていくことで、当社の顧客は企業や製品の価値を高めることができる」という同社日本法人社長の馬渡修氏に、2017年度の事業戦略などについて聞いた。

[PR/EE Times]
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売上の半分は産業機器、オートモーティブやヘルスケア機器が成長

――2016年10月期の業績と事業環境はどのような状況でしたか。

馬渡修氏 2016年10月期のワールドワイドでの売上高は34億米ドルで、前年比横ばいとなった。中国が二桁増と成長したが、日本を含むその他の地域がそれぞれ前年比微減となったため相殺された格好だ。

――日本国内の業績はいかがですか。

馬渡氏 中国経済が減速した影響から産業機器分野は厳しい状況となったが、2016年後半から復調し始めた。数年前から種まきをしていたオートモーティブ分野やヘルスケア機器分野も実り始め、成長している。通信インフラ分野では基地局向けはマイナス成長だったものの、高速大容量データセンター向け光モジュールは好調だった。

――用途別の売上高構成比を教えてください。

馬渡氏 ワールドワイドでは産業機器やヘルスケア機器向けの売上高構成比率が約半分、コンスーマと通信インフラが20%ずつ、成長しているオートモーティブ向けは16%程度である。コンスーマ機器向けの売上高比率は以前に比べると減っているが、そこで開発された要素技術はさまざまな分野に活用されている。純粋なAV機器などに向けた需要は減少しているものの、コンスーマ機器向けに開発されたヒューマンインターフェース関連製品/技術は、ヘルスケア機器などにも搭載されており、今や製品ジャンルの境界がなくなりつつある。しかも、産業機器やオートモーティブ機器は比較的成熟した技術/製品を搭載するのに対して、コンスーマ機器では最先端の技術を採用するケースが多い。このため、先端技術の研究/開発という観点から重要視している。

 通信インフラ機器向けでは、今後、5G(第5世代移動通信)に対する投資が予定されている。2017年から2018年にかけてフィールドテストが行われ、遅くとも2020年までには通信サービスが立ち上がることになろう。当社は、最新の通信インフラ機器に対してRFシグナルチェーンを提供しており、デザインインも進んでいる。これらの市場が立ち上がれば、事業拡大につながると確信している。

受注、売上高ともに拡大へ

――2017年の事業見通しはいかがでしょうか。

馬渡氏 新年度となる2016年11月以降は、受注、売上高とも拡大している。産業機器向けの需要が回復し、これまで積極的に提案活動を行ってきたヘルスケア機器向けも新たに立ち上がってきた。もちろん、オートモーティブ向けの需要も堅調で、この7〜8年は継続して伸長している。

 第1四半期(2016年11月〜2017年1月)の業績は、季節要因で第4四半期より下がるものの、前年同期比では成長を見込んでいる。産業機器向けの売上比率が高く、各地域での設備投資に依存する部分があるため、各地域のGDPを基に売上目標を設定しているが、日本法人においては、2017年度はGDP成長率の3倍を目標としている。

M&Aは成長戦略の1つ

――2016年にはさまざまな企業の買収、協業も相次ぎました。

馬渡氏 米国本社は現CEO(最高経営責任者)となってから、M&Aが1つの成長戦略となっている。顧客が企業/製品価値を高めることができるように、最適なソリューションを提供していくための環境作りを行っている。必要な技術であればM&Aで外部から入手したり、協業関係を結んだりすることにしている。

 例えば、2014年7月にHittite Microwave社を買収した。これまでDC〜30GHz程度であったRF製品のカバー領域は、買収によって100GHzまで製品ポートフォリオが広がった。

 2016年7月にはLinear Technology社(以下、Linear社)の買収を発表した。まだ関係当局の承認を待つ段階だが、うまくゆけば2017年上半期までに統合できる見込みだ。Linear社は、パワーマネジメントICで強みを持つ企業である。当社はデータコンバーターやオペアンプ、RFICなどに強い。今回の買収によって、アナログ製品のカテゴリーで最も市場規模が大きいパワーマネジメントIC分野にもアプローチすることが可能となる。両社が事業統合することにより、業界で最も包括的な高性能アナログ製品を提供できる企業となる。

エコシステムを強化

――ICなど製品ポートフォリオの拡充に加えて、ソフトウェアを含む統合的なソリューションやプラットフォームの提供に向けた買収も目立ちます。

馬渡氏 これからはアナログIC単体の製品拡充に加えて、プロセッサコアや機能モジュール、さらにはIP、ソフトウェアなど、システム構成に必要となる上位のレイヤまでソリューションとして提供していく。エコシステムの拡大などにより、両面からアプローチを強化していくことが、顧客となる企業の価値を高めていくことにつながると確信している。”More Than Silicon” あるいは”Go Beyond Silicon” を合言葉に、社内での意識づけを徹底しているところだ。

 特に、IoT(モノのインターネット)分野では、セキュリティ技術やセンシング技術が一段と重要になる。セキュリティ関連では、2016年8月にSypris Electronics社のサイバーセキュリティ・ソリューション部門の買収を発表した。無線通信のセキュリティ機能が強化される。ARM社とは、セキュリティ技術「ARM TrustZone」を活用した、新しいマイクロコントローラの共同開発を行う。これにより、IoT機器のセキュリティとエネルギー効率の向上を目指す。

2016年におけるAnalog Devicesの主な買収、協業案件

 センシング技術関連では、Vescent Photonics社から買収した固体レーザービームステアリング技術や、SNAP Sensor社のビジョンセンシング技術などがユニークだ。固体レーザービームステアリング技術は、小型・低コストで堅牢なLIDAR(Laser Imaging Detection And Ranging)システムを実現するための技術である。レーザー光を対象物に照射して距離を測定し、物体の認識も可能なことから、先進運転支援システム(ADAS)を実現する要素技術の1つとなる。

 SNAP Sensor社の画像検知技術は、光量が少ない場所でも高精度に画像を検知するもの。当社のBlackfinプロセッサを活用した低消費電力の画像処理アルゴリズムBLiPと組み合わせることで、人感センサーや物体認識などへの応用が期待されている。必要な画像だけを抽出し、トラックすることで、データ伝送量や消費電力を抑えることができ、IoTシステム向けプラットフォームのビジネスをさらに強化するものと位置付けている。

――企業の買収や協業を推進していくに当たって、社内の体制はどのようになっていますか。

馬渡氏 社内R&D部門の中に、M&Aを検討する専門部隊がいる。このチームは、社内外でユニークな技術を研究/開発しているチームやベンチャー企業、あるいは大学で行われている研究プログラムを、常にウォッチしている。日本のベンチャー企業などもその対象となっており、すでに米国から投資している会社もある。

 M&Aやベンチャー企業との連携を通じて行う活動は、5年以上先のビジネスを見据えたものである。実証実験を重ねつつ、顧客にソリューションを提供していくために必要となる技術の開発やノウハウを積みあげていく。

ターゲットはスマートマシンやヘルスケアなど

――開発を強化していく用途として、どのような分野がターゲットになりますか。

馬渡氏 従来通り、産業機器、ヘルスケア、通信インフラ、オートモーティブ、コンスーマに注力していくが、新たな潮流としてはIoTがある。IoT分野では、「スマートファクトリー/マシン」「スマートヘルスケア」「スマートシティ」や「スマート農業」などの領域に向けた事業を展開している。これらの分野に対して、ソフトウェアやアルゴリズムまで含めた包括的なソリューションを提供していくための体制を確立していく。

――2017年に期待する市場や製品を教えてください。

馬渡氏 これまで以上に、産業機器市場を深堀りしていきたい。一例だが、当社工場内で稼働している故障診断用センサーシステムを、IoTソリューションとして日本企業の製造ラインなどに提案していきたいと考えている。ADIの得意とするセンシング技術が重要となり、需要が見込まれる。期待する製品としては、産業用Ethernetや機能安全規格に適合させるための回路を内蔵したコンバーターなどがある。産業機器向けにはすでにSIL 3/4対応の製品を供給している。

 さらに日本市場では、ヘルスケア機器向けの事業も期待している。高齢化が進み、個人負担の医療費も増大している。CTスキャン装置や超音波診断装置など医療用装置向けビジネスに加えて、家庭で使用するポータブル機器などに向けたソリューションを提案していきたい。

 オートモーティブ向け製品では、独自の車載オーディオ・バス技術「A2B(Automotive Audio Bus)」がフォード・モーター社に採用された。オーディオやコントロールデータをクロックや電源とともに、非シールドのシングルツイストペア線上で送信できる技術で、クルマの軽量化や燃費改善に大きく寄与することが期待されている。日本のクルマ関連メーカーにも紹介を進めているところだ。また、従来から注力していたセーフティ / インフォテインメント系に加え、ハイブリッド車や電気自動車のパワートレイン向けにも製品提案を進めている。

センサーのラインアップも拡張

――センサーなどもユニークな製品がそろっています。

馬渡氏 慣性計測ユニットは、加速度センサーとジャイロスコープを集積した製品である。昨年10月に発表した3軸加速度と3軸ジャイロを組み合わせた6DOF(自由度)の「ADIS 16490」は、外形寸法が44x47x14mmと市販ソリューションの中で最小・最軽量レベルの製品だ。消費電流も少なく、業界最高水準の精度と安定性を備えている。従来はサイズやコストの問題で搭載できなかった航空、ドローン、マシン制御などのアプリケーションでの展開を期待している。同じ10月に発表したローパワーで低ノイズの加速度センサー「ADXL 354/355」も期待している製品の1つだ。

左=慣性計測ユニット「ADIS16490」/ 右=加速度センサー「ADXL 354/355」

 センサー製品に関しては、これからも積極的に製品ポートフォリオを強化していく。特に日本や欧州の企業はセンサー技術が先行している。場合によってはこれらの企業と連携しながら、当社のアナログシグナルチェーンを組み合わせ、さまざまなセンサーソリューションを提供していきたい。

――2017年もますます活躍が期待できますね。

馬渡氏 アナログ・デバイセズのコーポレートスローガンは「Ahead of What’s Possible 想像を超える可能性を」だ。我々だからこそ提供できるイノベーティブなソリューションを提案することで、お客様のイノベーションの実現に貢献する、という思いが込められている。2017年は、製品群の拡張に加え、システム・ソリューションの提案をますます加速化させることで、日本のお客様の競争力強化の一助となりたい。


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提供:アナログ・デバイセズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2017年2月15日

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