新エネルギー・産業技術総合研究所(NEDO)は、「nano tech 2017」で、SiCパワーモジュール向けに、銀ナノペーストを用いた接合材を展示した。NEDOのプロジェクトとしてDOWAエレクトロニクスが開発したもの。
新エネルギー・産業技術総合研究所(NEDO)は、「nano tech 2017」(2017年2月15~17日、東京ビッグサイト)で、SiCパワーモジュールの部材を接合するための銀ナノペーストを展示した。200℃以上の高温動作にも耐え、5MPaという低い圧力で部材を接合できるようになるという。
SiCパワー半導体のメリットの1つは、200~300℃という高温動作が可能になることだ。これによって冷却機器を小型化あるいは省略できる。だが、現在使用されているはんだ接合材は耐熱温度が最高でも約150℃であり、SiC素子のメリットを享受できない。そこでNEDOは、熱伝導率が高い銀を使った接合材の研究プロジェクトを進めてきた。NEDOは「銀は、熱伝導率が高いだけでなく、はんだよりも接着力が強いというメリットもある。いくつかの材料で、はんだに代わる接合材の開発が進んでいるが、銀が最も実用化に近いといわれている」と説明する。
NEDOの同プロジェクトにおいて、DOWAエレクトロニクスは、銀ナノ粒子を用いた銀ナノペーストの接合材を開発。高温に耐えられるだけでなく、従来の焼結銀に比べて低加圧で接合できることが特長だ。必要な加圧力は、焼結銀では20MPaだが、開発品では5MPa。これにより、チップへのダメージを軽減できる。
銀ナノペースト接合材の開発プロジェクトは2016年度末に完了する。その後は量産に向け、製造プロセスの改善を実施する予定だ。
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