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特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜

積み木のように機能を拡張する、IoTゲートウェイWi-SUN対応品を発表(1/2 ページ)

台湾スタートアップのNextDriveは、IoTゲートウェイのWi-SUN対応モデルの販売を2017年4月から開始する。本体をコンセントに差し込むだけで設置が可能で、スマートフォンから誰でも容易に扱うことが可能という。積み木のように機能を拡張できる点が特長だ。

» 2017年03月06日 12時30分 公開
[庄司智昭EE Times Japan]

積み木のように機能を拡張

Wi-SUN Cube (クリックで拡大)

 コンセントに差し込むだけで、スマートフォンから誰でも容易に扱うことが可能――。台湾スタートアップのNextDriveは、IoTゲートウェイのWi-SUN対応モデル「NextDrive Wi-SUN Cube」(以下、Wi-SUN Cube)の販売を2017年4月から開始する。スマートメーターとのリアルタイム通信や、電力自由化に伴うサービス構築のハブにすることが狙いだ。

 Wi-SUN Cubeは、本体をコンセントに差し込むだけで設置が可能な電気プラグ型のIoTゲートウェイである。サイズは47×47×43mmで、IoTゲートウェイとして世界最小クラスを掲げる。Wi-Fi(IEEE 802.11b/n/g/ac)とBluetooth 4.0に加えて、サブギガヘルツ帯(日本では920MHz帯)を使用するWi-SUNに対応した。Wi-SUNは、2.4Gz帯を使用するWi-FiやZigBeeと比較して通信速度は遅いが、電波が回り込みやすく障害物の影響を受けにくい。ボタン電池で数年間動作する低消費電力性も特長だ。

 積み木のように機能が拡張できる点もWi-SUN Cubeの特長だ。USB 2.0ポートが1つ搭載されており、外付けHDDやUSBメモリと組み合わせることで、プライベートクラウドとして利用できる。スマートフォンで撮影した写真を、専用アプリの設定を通して、自動的にバックアップする機能などがある。NextDriveでは、Wi-FiとBluetoothに対応したIoTゲートウェイ「NextDrive Cube」を既に提供しているが、台湾ではプライベートクラウドとしての活用が人気を生み、約1年半で1万5000個を提供したという。

 また、Wi-SUN Cubeの機能を拡張するハードウェアとして、USB広角度カメラやモーションセンサー、温湿度センサーなどを提供する。

 例えば、USB広角度カメラとモーションセンサーを組み合わせると、ホームセキュリティシステムとして利用可能である。まず家のドアや窓にモーションセンサーを貼り付けてWi-SUN Cubeとペアリングする。第三者が自宅の鍵を操作したり、ドアを開閉したりすると、モーションセンサーがその動きを検知してWi-SUN Cubeへと信号を送り、スマートフォンに通知を送る仕組みだ。異常を検知後、USB広角度カメラでは映像を録画するだけでなく、スマートフォンからライブ映像を見ることもできる。

 温湿度センサーに関して、NextDriveの石聖弘氏は「ただ温度、湿度を計測するだけではユーザーメリットは少ない。今後は赤外線リモコンも提供する予定であり、部屋の状況を見ながら外出先でエアコンの制御を行うなどの応用を考えている」と語る。

NextDriveが展開するIoT製品群。左から2番目が、Wi-SUN Cubeである。赤外線リモコンだけでなく、家電の消費電力を見える化するコネクテッド・プラグも提供予定という (クリックで拡大)

 これらハードウェアの設定は、全てスマートフォンから行えるため、ユーザーが特別な設定を行う必要はない。石氏は「一般的なゲートウェイは大きくて、オシャレな製品が少ない。当社は、ユーザーの使いやすさとデザインを重視して設計した」と語る。

「セキュリティも強固」

 プロセッサは、ARM Cortex-A7MPクアッドコアを採用。メモリ1Gバイト、eMMCフラッシュメモリ16Gバイトを搭載している。スマートハウス用通信プロトコル「ECHONET Lite」に対応し、Wi-SUNモジュールにはロームの「BP35C0」を搭載した。

 Infineon Technologiesのセキュリティチップ「OPTIGA」を採用し、セキュリティも強化した。NextDriveは「銀行レベルの電子取引システム保護と多重演算法を使用し、不正アクセスができない強度な防衛網を築いている」とコメントしている。

 Wi-SUN Cubeは、NextDrive Cubeと比較してプロセッサをシングルコアからクアッドコア、メモリを増設、新たにマイクを内蔵したが、高さ5mmしか変わっていないという。石氏は「電源ボードのサイズが大きく、当初は製造委託先に『できない』と断られた。電源ボードの小型化には危険も伴うため、USB給電も考えたがデザイン的に良くない。当社のエンジニアがさまざまな工夫を行い、今回のサイズを実現できた」と語る。

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