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» 2017年03月15日 13時30分 UPDATE

業界を驚かせた買収発表:IntelによるMobileye買収、アナリストの反応は (2/2)

[Junko Yoshida,EE Times]
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両社が担う相補的役割とは?

 しかし同氏は、「IntelとMobileyeは、互いのことを全く知らないわけではない。両社はこれまで、1年以上にわたり、BMWとIntel、Mobileyeの3社によるパートナー提携や、Delphi Automotive(以下、Delphi)とのプロジェクトなどを通して、密接な協業関係を構築してきた。両社とも、それぞれが担う補完的役割について、よく理解している」と述べる。

 両社の分業については、既知の通りだ。Mobileyeは、ビジョンプロセッシングや、カメラのアルゴリズムの動作、複数のカメラから収集したデータの統合などを担う。

 Mobileyeは、自動車メーカーやティア1サプライヤーにブラックボックスを提供し、その中でMobileyeのハードウェアと、独自開発のデータセットおよびアルゴリズムとを組み合わせる。これにより、ADASコンピュータビジョンチップ市場において、誰もが認めるリーダー企業としての地位を確立してきた。

 一方、Intelはこれまで、高性能自動運転車プラットフォーム市場の車載コンピューティングとコネクティビティ、データセンターの3つの分野において、主導的な地位獲得を目指してきた。つまり同社は、自動車産業における役割をエンド・ツー・エンドで担うという目標を掲げているのだ。

 MobileyeのDagan氏が説明するように、自動運転車には、2つの相補的な技術ソリューションが不可欠だ。1つは、Mobileyeがコンピュータビジョン向けに開発したブラックボックス(設定の柔軟性やオープン性には欠けるが)のような技術である。

 もう1つは、コンピュータ集約型のプラットフォームだ。Winter氏は、EE Timesのインタビューに対し、「自動運転車には、完全な自動運転車の実現が見込まれる2025年までに、データの収集および引き出しにおいて、数十億画素やテラバイト規模のストレージに対応可能な、コンピュータ集約型のプラットフォームが必要だ」と述べている。

 同氏は、BMW、Intel、Mobileyeが提携して開発に取り組んでいるプラットフォームについて問われると、「MobileyeのEye Q5チップと、Intelが独自に開発しているSoC(System on Chip)の2つについては、いずれも順調に開発が進んでいる。複数の『Xeon』コアと、統合型ハードウェアアクセラレーションユニットによって構成されている」と述べる。

敗者は誰か

画像はイメージです

 自動車業界の観測筋は、「IntelとMobileyeは今回の買収により、今後の自動運転車市場のデザインインに関して、競合他社に対する大きな優位性を獲得できる」とみているようだ。

 IHS Markitの自動車半導体部門で主席アナリストを務めるLuca De Ambroggi氏は、EE Timesのインタビューに応じ、「Audiが開発した中央制御ユニット『zFAS』を思い出してほしい。Audiは、zFASの開発に当たり、Delphiとパートナー契約を締結し、NVIDIAとMobileyeのチップを統合した」と述べる。

 MobileyeがIntelの事業部門の一部になれば、NVIDIAにとって、今後の展望は非常に不安定なものになる。

 De Ambroggi氏は、「ティア1サプライヤーだけでなく自動車メーカーも、さまざまなSoCメーカーとのプラグアンドプレイが可能な、拡張性に優れたプラットフォームの実現を目指している。IntelとMobileyeは、こうした状況の中で合併することにより、バンドリング効果(複数の商品やサービスを1つのセットとして提供する手法)を期待できる。顧客と交渉する際、自分たちの製品を他社品に置き換えられてしまうというリスクを低減できる可能性もある」と述べている。

 De Ambroggi氏は、具体的なメーカー名は明かさなかったが、「どのメーカーも弱くなってきている」と述べた。

 VSIのMagney氏は、「今回の買収は、組み込み側のバリューチェーンにおける従来のサプライヤーにとっては、プレッシャーとなるだろう」と述べる。「一方でQualcommおよびNXP Semiconductors、Infineon Technologies、ルネサス エレクトロニクス、Texas Instruments(TI)、NVIDIAは、今回のニュースに興味を持っていることだろう」(同氏)

 Magney氏は、「もちろん、Intelにとって今回の買収は極めて価値があるものだ。業界はIntelの決断を理解するだろう。Intelは、自動運転技術に必要なノウハウが全てそろうエコシステムの構築に取り組んできた」と続けた。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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