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» 2017年03月17日 11時30分 UPDATE

車載市場版“Wintel”:IntelとMobileyeの独占状態、吉か凶か (1/2)

IntelによるMobileyeの買収発表は、業界にさまざまな反応を引き起こした。専門家の見解は両極端だが、この2社によって自動運転車市場が独占されるのではないか、そしてそれは、健全な競争を妨げるのではないかという懸念は確実に存在する。

[Junko Yoshida,EE Times]

さまざまな心情が渦巻いた買収発表

 Intelが2017年3月13日(米国時間)に、Mobileyeの買収を発表して以降、業界関係者は、興奮、困惑、驚き、不安、自信、失望といったさまざまな心境に陥ったようだ。今回の買収については両極端の見解があるようだ。

 最も痛烈なコメントの1つは、金融および戦略顧問サービスを手掛けるSemiconductor Advisorsから聞こえてきた。

 「Intelは同社のデータセンター事業との強い結び付きを示唆しようとしたが、同事業を直接的に強化するわけではないので、相乗効果はほとんどあるいは全く見いだせない。この買収は、Intelが中核事業のフランチャイズから大きくそれるという思い切った行動に出ていることを示唆している。また、同社の主要事業である半導体ビジネスがすぐには大きく好転しない見込みのため、Intelは成長を活性化させるために何か新しいことを必要としているとも解釈できる」

IntelのCEOであるBrian Krzanich氏

 Semiconductor Advisorsの面々が、IntelのCEOであるBrian Krzanich氏の話に納得していないのは明らかだ。Krzanich氏は2017年2月、投資家とのミーティングで株主らに対し、“Intelは、PCやサーバ向けチップを手掛ける、シリコンバレーの最大手企業である”という、従来の典型的な見方は、もはや誤りであると述べたと伝えられている。

 もちろん、IntelによるMobileyeの買収を評価する技術アナリストも数多くいる。業界の観測筋である彼らは、自動運転車は黎明(れいめい)期であると認めつつ、Intelが適切な時に適切な決定をしたと確信している。

スマートフォンの失敗から学んだこと

 エレクトロニクス業界に精通した者たちは、Intelがいかにひどくスマートフォン市場を取り逃がしたかを覚えている。同社は顧客の需要に耳を傾けず、既にARMが席巻していた市場にx86アーキテクチャを投入できると過信して、大失敗を犯した(関連記事:Intelモバイル撤退の真相――“ARMに敗北”よりも“異端児SoFIA”に原因か

 だが、Mobileyeの買収は別だ。Intelを懐疑的にみている一部の人間でさえも、この買収については楽観的なようで、Intelはスマートフォン市場での失敗を教訓にして、自動車市場への参入を準備していると考えている。

 Edison Investment ResearchのアナリストであるRichard Windsor氏は、自らの調査ノートで自身の見解を共有した。同氏は「モバイル機器でチャンスを逃したことは、Intelの評判を傷つけた。IntelによるMobileyeの買収は、次の大きなトレンドを逃したくないという、Intelの決意の表れだろう」と述べた。

 Windsor氏は、Mobileyeの買収はIntel史上、2番目に大きな規模になると述べた。「今回の買収は、半導体企業が、民生機器やPC以外の市場にも移行する必要があることを浮き彫りにした。QualcommがNXP Semiconductorsを、そしてSamsung ElectronicsがHarman Internationalをそれぞれ買収するのも、同じ理由からである」(同氏)

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