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新技術のレンズや光学ユニットで新分野を開拓半導体製造工程を総合的にカバー

京セラオプテックは、「レンズ設計・製造展 2017」で、半導体部品製造の前工程に用いる「露光装置用レンズユニット」やADAS(先進運転支援システム)用途に向けた赤外線レンズの開発品などを展示した。

» 2017年04月24日 09時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

新型パッケージ「FOWLP」向け露光装置などを視野に

 京セラオプテックは、「レンズ設計・製造展 2017」(2017年4月19〜21日、パシフィコ横浜)で、半導体部品製造の前工程に用いる「露光装置用レンズユニット」やADAS(先進運転支援システム)用途に向けた赤外線レンズの開発品などを展示した。

 同社は京セラグループのレンズおよび光学機器メーカーである。2016年11月には、京セラの子会社となった光学部品専業メーカーのメレスグリオと経営統合を行った。これにより、それまでメレスグリオが開発を行ってきた、露光装置用レンズユニットの事業が加わり、新たに取り組むことになった。

 フォトリソグラフィ工程で用いるレンズユニットは、スマートフォン用SoC(System on Chip)などの新たなパッケージ技術として注目されている「FOWLP(Fan Out Wafer Level Package)」の再配線層を形成するために用いる露光装置などをターゲットにしている。外形寸法は鏡筒直径が400mm、長さは1315mmとなっている。解像度は1.5〜2μmに対応する。「レンズユニットの組み立てラインでは、精密な調整をインラインで行っている。これにより生産性が向上し、納期対応なども万全である」(説明員)と話す。

右が露光装置用レンズユニット、左はFθレンズの外観

 同社はこれまで、半導体製造の後工程で用いられるフリップチップボンダー向け光学ユニットなどを供給してきた。新たに露光装置用レンズユニットを製品群に追加したことで、「半導体製造の前工程から後工程まで、高精度で超精密なレンズを用いた光学ソリューションを総合的に提供することが可能となった」と述べる。

赤外線レンズ、車載赤外カメラを小型に

 赤外線レンズは、遠赤外線(波長8〜14μm)の透過性に優れており、物体の形状や温度などを可視化できることから、車載カメラや監視カメラなどで応用が拡大している。特に、ADAS用途で用いられる赤外カメラは、高解像度でありながら、より小型でレンズ長の短い製品が求められているという。

 同社は現在、さまざまな赤外線センサー向けに、シリコンの赤外線レンズを大量に生産している。これとは別に新たに開発しているのが、カルコゲナイドガラスを用いた赤外線レンズである。高度な非球面レンズを独自の熱成形技術で加工する。「赤外線センサーが同一であれば、シリコンの赤外線レンズを用いた場合に比べて、大きさをほぼ半分にすることができる」(説明員)と話す。ADAS用途の赤外カメラなどのニーズに対応した製品である。

参考展示したカルコゲナイドガラスを用いた赤外線レンズ

 参考展示したカルコゲナイドガラスを用いた赤外線レンズは、2017年度以降にサンプル出荷を始める予定である。

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