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常識外れの“超ハイブリッドチップ”が支える中国格安スマホ製品分解で探るアジアの新トレンド(16)(1/3 ページ)

中国Ulefoneが発売した「Ulefone U007」は、わずか54米ドルという超格安スマートフォンだ。なぜ、これほどまでの低価格を実現できたのか。スマートフォンを分解して現れたのは、常識を覆すほど“ハイブリッド化”された台湾製チップと多くの中国製チップだった。

» 2017年05月15日 11時30分 公開

54米ドルの“激安”スマホ

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 2016年、中国スマートフォンメーカーUlefoneから、54米ドルという破格の値段のスマートフォン「Ulefone U007(以下、U007)」がリリースされた。OSにAndroid 6.0を採用し、1080×720p IPS 5.0型ディスプレイ、デュアルSIMカード対応、1GバイトRAMと8Gバイトのフラッシュメモリストレージを備える機種である。背面には13Mピクセルのカメラ、フロントには5Mピクセルのカメラが備わっている。上記スペックは現在の最新スマートフォンからすれば「ローエンド」仕様である。

 しかし世界全体で見れば、54米ドルという価格と上記のスペックでも十分に要件を満たしているというユーザーは多いだろう。日本でわざわざこのスマートフォンを買って使う理由はないが、世界モデルという点では観察する意味はある。

 本機種に最も足りていない機能があるとすれば、それは、LTE通信に対応していない点だろう。しかしそれ以外は、Wi-Fi、Bluetooth、GNSS、FMなどの各種通信や受信機能を備えており、数年前のスマートフォンの先端機器に匹敵する機能を備えている。数千円で買えるスマートフォンといえど、新興国では十分に通用するものになっているのだ。

 日本や先進国では、2G(第2世代移動通信)携帯電話→3G(第3世代移動通信)携帯電話→スマートフォン→LTEスマートフォンと進化の過程を歩んできたので、U007の仕様をつい辛口で評価してしまいがちだが、スマートフォンを初めて持つという新興国のユーザーにとっては、U007は十分な仕様ではないだろうか。

 図1は、U007の外観および背面カバーを取り外した分解の様子である。外観は一般的なスマートフォンと同じで、可もなく不可もない。USB端子、3.5mmヘッドフォン端子なども、他のスマートフォンと変わらない。厚さ8.7mmで重さ135gと、軽くて薄い。背面カバーを外すと、デュアルSIMカードスロットとマイクロSD/SDHCカードスロットを確認できる。この辺りは先端機種と同じ構成だ。電池はリチウムポリマーで容量は2200mAh。付属品としてAC電源アダプターとUSBケーブルが付く(ヘッドフォンは付属されていない)。

図1:2016年に登場した54米ドルの激安スマートフォン「Ulefone U007」(クリックで拡大) 出典:テカナリエレポート
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