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» 2017年05月18日 11時30分 UPDATE

勢いづくNVIDIA:トヨタがNVIDIAのAI技術を採用、Intelに焦りか (2/3)

[Junko Yoshida,EE Times]

トヨタの取り決め

 1年前の同カンファレンスでは、Toyota Research InstituteでCEOを務めるGill Pratt氏が登壇し、基調講演を行った。同氏はその中で、自動運転においてシミュレーションが鍵となる理由を強調していた。NVIDIAのGPUが電力を供給するプラットフォームを活用し、シミュレーションプログラムを開発することで、実世界で何兆マイル走ったとしてもめったに発生しないような事態に対処できるようにすることは、Toyota Research Instituteの研究チームの責務になっているのだという。

 膨大な量の実世界データからの拡張学習に対するシミュレーションを行わずに、何マイルも走行を重ねたところで、自動車産業が前述したようなエッジケースへの対処法を見つけられるはずはないと、Pratt氏は説明した。

 その後、NVIDIAは2017年5月10日に、トヨタとNVIDIAのエンジニアから成る開発チームが既に、NVIDIAのAIプラットフォーム上で高性能ソフトウェアの開発を進めていることを発表した。NVIDIAは、「トヨタ車の性能を高めることで、車載センサーによって生成される膨大な量のデータを把握し、自動運転車の広範な周辺環境に対応できるようにすることを目指していく」と述べている。

 Vision Systems Intelligence(VSI)の創設者であり主席アナリストを務めるPhil Magney氏は、EE Timesのインタビューに対し、「NVIDIAは、自動車関連のパートナー企業を増やしているが、その中には試験的なプログラムもあれば、既に製造段階に入っているプログラムもある。トヨタの場合は、Drive PXまたはそのエレメントを使用することによって、将来的に自動運転車のオートメーション化および安全性の向上実現を目指すという製造契約である」と述べている。

 またMagney氏は、「トヨタとの契約に関しては、オートメーション化よりも安全性の方が重視されているという印象を受けた」と付け加えた。

 同氏は、「AIを利用して自動車の安全性を向上させようとするトヨタの取り組みは、実に賢明な手法だといえる。AIは、潜在的な危険性のある状況に対して、判断を下すことができるためだ。自動車にもう一つの目と脳を持たせることにより、無数に存在する場面状況や、極めてまれなケースなども把握できるようになるだろう」と指摘する。

 さらに同氏は、「現在も、安全性が自動車の販売に寄与しているが、今後、隊列走行をベースとしたオートメーションが実用化されるまでの数十年間で、オートメーション機能や運転助手技術などのさまざまな技術が自動車に搭載され、その安全性は飛躍的に向上するだろう」と述べる。

IntelのKaty Winter氏

 IntelもNvidiaに負けてはいない。同社の自動運転車部門でバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーを務めるKaty Winter氏は、2017年5月10日(水曜日)に声明を発表した。

 Katy Winter氏は、Intelがデータ関連企業であることを繰り返し主張しながら、自動運転車を90分間走行させる場合、4Tバイトを超えるデータを処理する上で何が必要なのかについて、議論を展開した。同氏は、「Intelは、自動車メーカーやティア1が膨大なデータに関する問題に対応していく上で不可欠な、一連の完全なソリューションを提供することができる、唯一の企業である。Intelのソリューションは、自動車内部だけでなくネットワーク、クラウド全体において、このようなヘテロジニアス(異質)なデータと連携しながら機能することが可能だ」と主張する。

 Intelはこれまで、自社の高性能自動運転車向けアーキテクチャについて詳細を明かしたことがなかったが、Winter氏は、「当社のCPUとFPGA、AIプラットフォーム、ソフトウェアソリューションは、既に微調整済みの状態にある。このため、完全な高性能自動運転車の生産開始に向けた取り組みを進めている、当社の自動車関連のパートナー企業からの特定要件にも、対応することが可能だ」と述べる。

 現在のところ、Intelのパートナー企業として広く知られているのは、同社が2017年初めに買収を発表したMobileyeだ。この他にも、BaiduやBMW、Delphi Automotiveなどが挙げられる。Winter氏は、他にもまだ公にはできないパートナー契約がいくつかあることをほのめかしながら、「現在既に、自動運転車の試験車が数多く路上を走行しているが、これらの自動車のトランクを開けてみれば、多くのIntel製品が採用されていることが分かるだろう」と述べている。

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