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» 2017年05月23日 09時30分 UPDATE

スマホでも大画面で見られる:スマホの画面を広げる60nm極薄ホログラム

オーストラリアのロイヤルメルボルン工科大学(RMIT)と中国の北京理工大学(BIT)が共同で、60nmの極薄ホログラムを表示する技術を開発した。スマートフォンやスマートウォッチの仮想スクリーンとして応用することができる。

[辻村祐揮,EE Times Japan]

スマートウォッチも大画面で

 PCやタブレットと比べたときのスマートフォンのメリットは、片手で持てるほど小型軽量なところだ。しかし、ディスプレイのサイズが小さいと操作がしにくく、何よりも見づらい。長所を残したまま欠点を除く方法はないのだろうか――。

 そんなぜいたくな願いをかなえる技術を、オーストラリアのロイヤルメルボルン工科大学(RMIT)と中国の北京理工大学(BIT)が共同で開発した。その技術とは、60nmの極薄ホログラムをスマートフォンやスマートウォッチなどの上に仮想スクリーンとして結像するというものだ。3Dゴーグルなしで見ることができるという。

60nmの極薄ホログラムをスクリーンとして活用するイメージ 出典:RMIT

 発表日は5月19日(オーストラリア時間)。研究チームを率いるRMIT教授のMin Gu氏は、「ホログラムを電子機器上で結像できるようになれば、ディスプレイのサイズは問題ではなくなる。それどころか、スマートフォンやスマートウォッチの小さなディスプレイでは表し切れなかった多くの情報が表示できるようになる」と、開発した技術の特長について説明している。

これまでのホログラムは厚過ぎた

 仮想スクリーンとして使える極薄ホログラムの作成は、従来の技術では非常に困難だったようだ。Gu氏は、「従来の計算機合成ホログラム(Computer-Generated Hologram:CGH)は、スマートフォンやスマートウォッチなどの電子機器には厚過ぎた」と語る。

 計算機合成ホログラムは、元になる現実の物体を必要とせず、コンピュータ上のシミュレーションだけで作成できるため、仮想スクリーンとして応用する研究が重ねられてきた。だが、従来のCGHは十分な光の位相変位を生み出すために、厚さが光学波長と同程度である必要があった。

 そこで研究チームは、表層の屈折率が低く内部の屈折率が非常に高い量子物質であるトポロジカル絶縁体を用い、薄型のフィルムを作成した。トポロジカル絶縁体の薄型フィルムは光共振空胴として機能し、ホログラムの結像に必要な位相変位を向上させる。そのため、研究チームは同フィルムを用いることで、60nmの極薄ホログラムの作成に成功した。

 研究チームの一員であるRMITのZengji Yue氏は次の研究目標を、「液晶ディスプレイ上に設置できる堅固なトポロジカル絶縁体の薄型フィルムを開発することだ」と述べている。また、ホログラムのピクセルサイズを縮小し、最低でも今の10分の1にすることも計画しているという。

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