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» 2017年06月09日 09時30分 UPDATE

Smart Sensing 2017:ソニーが独自LPWAを展示、100km超の通信を実現

ソニーセミコンダクタソリューションズは、「Smart Sensing 2017」で、独自開発の低消費電力広域(LPWA:Low Power Wide Area)ネットワーク技術について紹介した。2017年4月に発表したもの。極めて遠い距離や高速移動中の車両からでも安定した無線通信が行える。こうしたいくつかの実験データを示した。

[馬本隆綱,EE Times Japan]

100km離れても、高速移動中道でもLPWAがつながる

 ソニーセミコンダクタソリューションズは、「Smart Sensing 2017」(2017年6月7〜9日、東京ビッグサイト)で、独自開発の低消費電力広域(LPWA:Low Power Wide Area)ネットワーク技術について紹介した。遠距離や高速移動中の車両からでも安定した無線通信が可能となる。東京スカイツリーなどに実験用基地局を設置して実証実験も始めた。

 ソニーのLPWAネットワーク技術は、誤り訂正などのデジタル信号処理技術、高周波アナログ技術、低消費電力のLSI設計技術などを統合することで実現した。ネットワークシステムは、現場のセンサーや移動体などに取り付ける送信モジュールと、高所に設置する基地局向けの受信機で構成される。

実証実験用の送信モジュールと受信機

 ソニーが提案するLPWAの特長は、通信距離が100kmを上回ることや、車両が時速100kmで高速移動している時でも安定して通信できる点だ。これらを実現するため、同社は独自の工夫を行った。

 例えば送信モジュールは、新たに開発した誤り訂正符号と、伝送路を推定するために必要なパイロット信号が埋め込まれたパケットを、0.4秒の間に3回送信する。これを4回繰り返すという。

 一方、受信機側では、複数回送信されてきたパケットを合成して、感度を高めるための信号処理を行う。これによって、電波の干渉を軽減することができる。さらに、受信機側で誤り訂正信号処理によるデータの復元などを行うことで、遠距離通信時の信号レベル低下や混信によるデータの一部欠落などがあっても、通信の成功確率を高めることができるという。また、受信機には相互変調ひずみなどに強いチューナーLSIを搭載したことで、混信が生じやすい都市部においても、良好な通信を可能とした。

 さらにソニーのLPWAは、送信モジュールと受信機に、それぞれGPS用LSIを標準で搭載した。GPS対応エリアでは、送信モジュールの位置情報に加え、精度の高い時刻情報を用いることで送信側と受信側の周波数とタイミングを補正することができる。これによって、通信の効率や信頼性を高めることが可能になるという。

 ソニーLPWAの送信周波数は920.6M〜928.0MHz、空中線電力は20mW、実転送レートは80ビット/秒である。今のところ通信方向は一方向で、双方向通信については検討中だという。

 ブースには、実証実験用の送信モジュールと受信機を展示。実証実験の様子もパネルで紹介した。特に、奈良県日出ケ岳から富士山五合目までの見通し274kmの無線通信を実現した例や、高速道路を走行している車両からの受信例などを挙げた。

ソニーのLPWAの実証エリアと実験結果(クリックで拡大)

 同社は今後、実証実験を行うパートナー企業をさらに拡大していく計画である。同時に、ソニーLPWAネットワークに向けた送受信機器の製品化、さらにはサービスの商用化に取り組む考えである。

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