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» 2017年06月23日 12時30分 UPDATE

知る人ぞ知る存在:中国CPUコアメーカー、Alibabaが成長を後押し

中国のCPUコアベンダーであるC-Sky Microelectronicsは、米国テキサス州オースティンで開催された「Design Automation Conference(DAC)」に出展した。同社の成長を後押ししているのが、中国の大手eコマース事業者Alibabaだ。

[Junko Yoshida,EE Times]

知る人ぞ知る、中国CPUコアメーカー

 C-Sky Microelectronics(以下、C-Sky)は、32ビットの組み込みCPUコアの設計を手掛ける中国企業だが、中国以外では知る人ぞ知る存在だと言っていいだろう。

 C-Sky(Cは“China”のC)は米国ではほとんど知られていないが、2001年に中国・杭州で設立され、2015年には年間で5億個もの組み込みCPUを出荷する企業にまで成長した。同社のCEO(最高経営責任者)であるXiaoning Qi氏によると、同社製のコアは、セットトップボックスからICカード、プリンタに至るまで、幅広い組み込みシステムに採用されているという。

 C-Skyのコア事業は、高性能かつ低消費電力の32ビット組み込みCPUを設計し、そのチップアーキテクチャのライセンスを供与するというものだ。2003年に第1世代のCPU「CK510」を発表して以降、同社はさまざまな組み込みコア、SoC(System on Chip)プラットフォーム、ソフトウェアツール、ミドルウェアを開発してきたが、そのように幅広く事業を展開していることは中国以外の国ではあまり知られていなかった。現在では7種類のコアを提供している他、中国で70社ものライセンシーを抱えている。

 米国テキサス州オースティンで開催された「Design Automation Conference」(2017年6月18〜22日)に参加したQi氏は、現地でEE Timesとの独占インタビューに対応してくれた。

C-Sky MicroelectronicsのXiaoning Qi氏

 現在、組み込みCPUコアの世界市場は、ARMやImagination Technologiesなど、より支配力のあるメーカーの勢力が強い。そうした状況の中で、わざわざ別のCPUコアを開発しているのはなぜなのだろうか。

 Qi氏は、「その技術が中国によって開発され、中国のために発展したものならば、技術革新を起こすのに遅すぎるということは決してない」と率直に答えたが、この答えには、中国的な楽観主義が反映されているといえるだろう。「中核的な技術の開発に取り組むことは中国にとって必須課題であり、組み込みCPUコアは、そのうちの1つであると考えている」(同氏)

 Qi氏は、C-Sky製のシステムとツールが、ARM製のシステムとツールのように徹底して高度に構築されていないことを認めた上で、「その点では当社は劣っている」と述べた。とはいえ、C-Skyの開発チームメンバーの半数はソフトウェアエンジニアであり、「デザインチェーンとシミュレーターの開発に注力し続けている」のだという。同氏は「われわれの強みはコスト面での競争力だけでなく、丁寧なサポート体制にもある。つまり、当社は組み込みシステムの設計を手掛ける新興の中国企業に対し、手厚く対応している。当社の競合先に比べると、顧客のニーズをより柔軟に満たしている」と説明した。

Alibabaが資金提供

 C-Skyの“奥の手”は、中国の最大手インターネット関連企業であるAlibabaと独自に手を結んでいることかもしれない。Jack Ma氏が率いるAlibabaは、中国の三大インターネット関連企業の1つであり、他の2社であるBaidu、Tencentと合わせて「BAT」と称されることが多い。

 今回、C-Skyが半導体企業として、世界で初めてAlibabaから巨額の投資を受けることが明らかになった。Alibabaのような大手インターネット企業からの注目を得たことは、単に珍しいというだけではない。資金獲得に苦戦するスタートアップにとっては、まさに“天の恵み”のようなものではないだろうか。Qi氏は、資金提供の金額は明かさなかったが、「優れたハードウェア技術はAlibabaの発展に必ず役に立つ」と主張して、Alibabaを説き伏せたと述べた。

 現在、C-SkyのCPUコアは、主にIoT(モノのインターネット)市場向けに設計されていて、Alibaba独自の組み込みOS「Yun OS」でも動作するようになっている。C-SkyのCPUコアはもちろん、Yun OSだけをサポートしているわけではないが、Qi氏は、「Alibabaと密に協働することで、中国IoT市場の動向を知ることができる」と述べる。

C-Skyの「CK801」のアーキテクチャ。16ビット命令セットを55個、32ビット命令セットを約20個含んでいる。最小のコアのゲート数は9000だという(クリックで拡大) 出典:C-Sky

 Alibabaは、同社のサーバアーキテクチャについてはIntelと協業しているが、C-Skyは、クラウドに接続されるエッジデバイスにおいて重要な役割を果たせると確信している。

【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】

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